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心霊

四川獅門さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

僧伽(サンガ)
長編 2021/02/26 08:44 26,819view
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「……ママ……怖いよ……」

紀子さんは胸が締め付けられた。息子も元気な顔を取り繕っているのかもしれない。そう思った。
彼女は新一君の頭をそっと撫でた。
窓からは夏の夜風が入り込む。
どこからか、線香の香りがした。

ある日の夕方、紀子さんが職場から外に出ると雨が降っていた。
紀子さんがアパートに帰ると、コンクリの玄関には雨に濡れた2人の足跡があった。
ひとつは新一君の足跡、
もうひとつは、靴が無い。

「ただいまー」

「おかえりなさい!」
新一君が玄関まで駆けてくる。

「新ちゃん、誰か来てたの?」
紀子さんが聞く。

「うん!ユキちゃん!」
満面の笑みで新一君が答えた。

「えー?もしかして新ちゃんのカノジョー?」
紀子さんがからかう。

「うーん……トモダチー!」

2人は笑った。無口だった息子にも友達ができて、紀子さんは内心ほっとした。

次の日、仕事で遅くなった紀子さんがアパートについたのは20時頃だった。
新一君は風呂から上がり、テレビを見ていた。
紀子さんが冷蔵庫を開けると、新一君の夕食がそのまま入っている。

「新ちゃん、どうしてご飯食べてないの?」

「ユキちゃんとお菓子食べてお腹いっぱいになっちゃった。ごめんなさい」

「もう……ダメでしょ。ちゃんとご飯食べなきゃ、ママ怒るよ。今度ユキちゃんにお礼しなきゃね」

「うん!」

結局、新一君の夕飯は紀子さんが食べた。
食事を終えて、紀子さんは同僚に貰った入浴剤を風呂に入れた。

『最近急に痩せて心配だわ。身体、労わってね』

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コメント(2)
  • 七面山ということは日蓮宗か。

    私も坊さんやっておるけども(日蓮宗ではない)、こういう話は身の回りで聞くことがある。

    この手の話は仏教の教義柄、対外的には公言されないけども、お寺の世界なら、このエピソードは実話でもおかしくないくらい有り得る話。

    2021/02/26/10:11
  • 1番上のコメント主様へ。
    お坊さんが、このような話を読まれている事に少し驚きました。お読み頂いてありがとうございます。
    七面山が日蓮宗というのも、書いた私自身、知りませんでした。大変勉強になりました。
    先日、宗教は違うのですが、加持祈祷に救われました。
    神や、仏につかえる方々には感謝や尊敬の意があります。
    この場を借りて、お礼申し上げます。

    する夫

    2021/02/26/10:29

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