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呪い・祟り

ぞざいさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

写真の女の子
長編 2021/04/01 18:48 18,826view
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先月、私の友人が亡くなった。
その死に方というものに納得がいかないので、こちらで投稿させていただく。

友人とは大学以来の付き合いで、10年くらいのものであった。とても気が合い、自分の中で1番と言ってもいいほどの親しい仲だった。友人も私も地元の大学に通っていたが、就職の際に私は都内へ引っ越し、友人は地元の企業に就職したため、大学を卒業してからは離れ離れとなってしまった。しかし私はなにかとまとまった休みがあれば地元へ帰っていたので、友人と会う機会もそう少なくは無かった。

もうあれは5年ほど前だろうか。いつもの如く年末に帰省した私は友人と遅くまで酒を飲み、最近の仕事の話、恋愛話、世間話……たわいもない話を続けていたのだが、その友人が突然、何かを思い出したのかニヤけた表情になり、徐ろにスマホの画面を見せてきた。

「この写真、見てくれよ。これ、右に写ってるの俺なんだけどさ、この左側にいる女の子、誰だったか全く覚えてないんだよな」

その画像は、アルバムに貼り付けてある写真をスマホで撮影したものだった。うちの地元では有名な観光スポットである大きな滝を背景に、橋の上でピースをしている幼い友人。笑顔だ。そしてその右手には、友人と同じくらいの年齢の女の子。二人は手を繋いでいるが、女の子はなぜか滝の方を向いており、こちら側に背を向けていて顔がまったく分からない。
聞けば、年末だからと大掃除をしていたところ昔のアルバムを見つけ、なんとなく眺めていたところこの写真を見つけたらしい。女性経験の全くない友人はこの写真を見て、自分にもガールフレンドがいた過去があったのではと希望を持ち、「この女の子にもう一度会って話がしたい」と色々な人にこの写真を見せて手がかりを探っているとのこと。残念ながら心当たりはない私は知らないと答えてその話は終わった。

その次に帰省したのは半年も経たないゴールデンウィークであったが、その時に写真の話は出てこなかった。密かに友人と女の子との再会に期待していた私は、もうこの先あの写真の話は二度と聞けないだろうと思っていた。

ところがある日突然、夏の暑い日だったと思うが、友人から電話がかかってきた。

「おい、今時間あるか?」

少し興奮気味の友人の声。どうしたと聞くと

「覚えてるか?年末に話した写真の話」

私は、とうとう友人と女の子に進展があったのかと胸を弾ませ、うんと答えた。

「あの女の子、なんか動いてんだよ」

は?と思わず声を発する私。何を言っているのか全く理解ができなかった。しかし友人は変わらぬ声色で話を続ける。

「いやさ、あの写真見つけてから時々アルバム見るんだけどさ、女の子顔が動いてんだよ。こっち向いてきてるってかさ」

気のせいでは?と言っても、友人は絶対に違うと一点張りで、これでは埒が明かないと思った私はその写真を撮って送ってくれと友人に頼み、早々に電話を切った。オカルト大好きな友人である。この手の話が大好きな故に、思い込みが激しいのだろうと思っていた。
すぐに、写真の画像は送られてきた。しかし私は、前に見た写真を事細かには覚えていなかったので、それほど違和感を感じなかった。だから、友人にもそう返信した。やっぱり気のせいでは、と。友人の返信はなかった。

その年はなかなか仕事が忙しく、年末恒例とも言える帰省は無理だった。その電話があってから、次に帰省できたのは今から3年前の年末。もちろん友人とも飲みにいった。会ってまず、少し違和感を感じた。前に友人と会った時より、言い方は悪いが少し清潔感が欠けていたというか、少なくとも、以前より歳をとったように見えた。友人は会って開口一番にまた興奮気味に、

「写真、やっぱり女の子絶対動いてるよ。見てくれよ、持ってきたから」

と言って、カバンから写真を取り出したそれを私に見せた。もうその話はいいだろうと思っていた私も、実物を見てみると認めざるを得なかった。確かに、動いている。こちらを向こうとしている女の子が写真の中に、いる。
しかし、まだ顔は見えない。

「この子、このまま動き続けたらさ、顔分かるよな?そしたらヒントになる」

と、やはり興奮気味な友人を見て、私は「不気味なもの」という感情が湧き出てこない彼に疑念を抱いた。その日はずっと狂ったようにその話を彼がするので、私はただうんざりしていた。これほど帰省が楽しくないのは初めてだった。
それから友人は会うたび、また電話でも写真のことをよく話した。まだ電話ならいいが、友人と会うとなると私は気が進まなかった。なぜなら、彼の容姿はみるみるうちに酷くなっていったからだ。髪も、服装も、顔も、何もかもが乱れていて、とても一緒にいるのが恥ずかしいと思うような人に、彼はなっていった。
しかし、写真に関して言えば、女の子は徐々にではあるがその顔がこちらを向いてきているのは確かだった。
私がこの写真を最後に見た時、写真の女の子は横顔だった。それを見たのが去年。画像で送られてきた。一言は

「もう少し」

次に会えた時には顔がはっきり見えるだろうと、少し楽しみにしている自分もいた。しかしそれから、友人と二度と会う事は無かった。
先月のある日、深夜1時頃に友人が電話をかけてきた。彼がこんな時間に電話をかけてくるのは初めてだったので、私は驚いて、すぐに電話に出た。

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コメント(9)
  • 面白かった

    2021/04/01/21:53
  • 面白いと言うかこわい話ですね。
    今月は1位と2位が奇しくも「女の子」 「写真」 「友人の死」と言うキーワードが共通してますが、ここまで味の違う話になるのが興味深いです。

    2021/04/07/16:45
  • オーソドックスではあるけど文章になかなか味わいがあって楽しめました

    2021/04/12/22:13
  • すごい

    2021/04/30/12:55
  • どこかで聞いたようなありきたりで予想通りの展開。
    なんだが、なぜこんなに怖く面白いんだ?すごいな。語り口ひとつでこうも味わいが変わるものなのか。

    2022/06/24/07:47
  • 自撮りやめよう…

    2023/04/06/17:57
  • 2023/05/03/21:38
  • 女の子同士の話かと思っていたら、違ってた。

    2023/05/18/21:20
  • オチ直前までが怖い話
    オチは怖くないのがありがち

    2023/10/17/08:15

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