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withさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

荷物用エレベーター
短編 2022/09/11 21:42 12,079view
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大学生の頃、某宅急便の短期バイトをしていた時に体験した話。

俺は友達の紹介で面接を受けにいった口なんだけど、担当者も慣れた感じで殆ど面接と言うよりは契約に必要な話とかシフトの話をされたから、事実上即日採用みたいなもんだった。

翌日にはメール便の仕分け作業に連れていかれると、結構大雑把に仕事内容を教えられて、一時間もしない内に一人で黙々と作業をさせられた。

まあ、地域名を覚えないと即戦力どころか足手まといなのは周りの仕分けるスピードを見て感じ取っていたが。

そんな具合で仕事にも慣れた一週間後くらいだったか。
部署のリーダーなのか指導係なのか分からないが、俺に仕事を教えてくれてる若年層くらいの社員に呼ばれると「下の部署にこれ届けてくれる?」て言われて段ボールを手渡された。

間違いメールとか、手違いとか、そういうのを纏めた段ボールなのだが、これを下の階の部署に届けて欲しいと言われた。

ちょうど荷物用エレベーターを送る所だったので、社員は「それに乗っていいから、頼むね」と半ば強引に荷物と共にエレベーターに追いやられ一緒に見送られる俺。

縦二段階に閉じていくシャッターを見送ると、無機質な空間の中にメール便が積まれたカゴ車と段ボールを抱えた俺がじっとしているだけだった。

ふと、ボタンを見ると下の階と言った割には中々到着しない。

よく見れば、地下1階が光ってる事に気づいた俺は「あの社員適当すぎんだろ」とため息をついた。

メール便部署は3階で、社員が下の階と言ったのは一つ飛ばした先の1階の事。

一段押し間違えている。

地下1階に到着すると、シャッターが開いた先は埃臭い倉庫が広がっていて、照明が手前しか点いていないのか、エレベーターの周囲より先は殆ど真っ暗だ。

俺はすぐに上の階のボタンを押してシャッターを閉じた。

しかし、何度閉じるボタンを押しても一向にシャッターが閉じる気配がなかった。

流石にただ荷物を届けるだけで数十分も現場を離れる訳にはいけないし、何ならサボってると勘繰られても面白くない。

俺は一度エレベーター内から顔を出して外側のボタンを押してみた。

すると、音を立ててシャッターが下り始めたのでスッと頭を引いて立ち位置に戻る。

荷物用エレベーターはこんな感じで警戒音みたいなアラートが鳴るんだが、この静寂な空間ではフロアの奥まで反響して酷く煩く思えた。

すると、ビーッビーッビーッのリズムに混じり、何処からかフロアを走る音が「タッタッタッ!」と聞こえてくる。

シャッターが二割ほど下がった時、何気なしに前を向いて暗闇のフロアを眺めていると、闇の中から子供くらいの人影がこっちに向かって走っているのが見えた。

まるでエレベーターに駆け込み乗車するように走ってくるから、俺は単純に社員かバイトがエレベーターに乗ろうとしてるんだと思って、待ってあげた方がいいかなと止めるボタンに指をかけた所。

『アハハハハハハ』

唐突に聞こえた笑い声にビクッと顔を上げれば、その人影の足音が「タッタッタッ」と軽いものから「ドタタタタタダダダダ」といった複数人の足音へと切り替わった。

目を凝らせば人影の背後からもう一つの人影が見え、その真横にもまた人影、後ろにも人影といった感じで、人影の集団が荷物用エレベーターに押し掛けてくるのが見える。

咄嗟に命の危険を感じた俺は閉じるボタンを叩くように連打した。

『アハハハハハハ』
『ギャハハハハハ』
『ヒヒヒヒヒヒヒ』

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コメント(4)
  • これは怖い

    2022/09/13/00:23
  • これは良ホラー

    2022/09/13/20:18
  • 読んでてめっちゃ怖かった
    もっと評価されていいと思う

    2022/09/15/12:18
  • 想像したら怖すぎた
    エレベーター乗れなくなるやん

    2022/09/20/11:18

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