奇々怪々 お知らせ

心霊

白と黒の旅人さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

病院の奇霊達
長編 2023/05/31 12:11 3,722view
5

退院後、「もしかしたらトントロ食べたかったのかな〜」と思いつつ、「もしかしたら私に憑いてるのでは?」と思い、某寿司チェーン店のトントロ握りを再現した寿司を自前で作って食べた。
トントロが食べたかったのか、それともトントロのことを語れる仲間を探していたのか、トントロ派の人間を探していたのかは分からないが、満足してくれてたらいいなと思った。

3人目
デイルームのおじいさん

病院にはデイルームと呼ばれる談話室のような場所があるのは分かるだろうか。
そこに夕方現れるおじいさんの話である。
デイルームには何人か人がいるのだがその夕方頃に関してはパタリと人が来ない。
そしてそのタイミングで狙ったようにいつの間にか現れるおじいさん。
この人は霞っぽい見た目というか身体の末端が認識しづらいと言った感じ。
何となくこの世の人では無いんだろなって感じた。
夕日が綺麗に見えるデイルームの窓からの景色を椅子に座って眺めている。この場を立ち去った方がいいのかそれとも何かした方がいいのか迷ったのでとりあえず、デイルームの中にあったウォーターサーバーの紙コップの中に自前で持ってた麦茶を入れて渡してみた。

おじいさんは特に一瞥もせずにそこに座り続けており、私は「興味無いのかな」と思い隣に座って窓の外の景色をぼーっと眺めていた。

そのうち、また周囲から人の気配と声がし出した。
周りにはいつの間にか人が戻ってきており、隣に居たおじいさんはもういない。
麦茶をそのままにしておくのは変かと思い何気なく飲むと驚くことに味が無かった。
匂いとかはたしかに麦茶なんだけども味が水みたい。

これ、飲んでもいいんだろうかと思いつつも「仏壇とかに備えたご飯や水って食べたり飲んだりするみたいだし良いのかな?」と勝手に納得し飲み干した。

その時だけおじいさんに遭遇し、退院まで会うことは無かった。でも、デイルームから見た夕日と山はとても綺麗だった。

4人目
徘徊する霊

これも先述の号泣した女性と遭遇した後の話。ただし、トイレを譲った後の方。要は2日目である。
トイレを幽霊?に譲ったあと別のトイレで用を足した。

そのトイレへの道の途中に自動販売機がある。
基本的にこれは多分患者の家族用。

それで、行きは誰とも合わなかったのだが返りに人が自販機で何かを買っていた。
「こんばんは」と声をかけると向こうも「こんばんは」と返してきてくれた。杖をついたアラフォーぐらいの男性。
多分脳梗塞か何かで麻痺があるようで右足がすり足気味だが、それでも結構歩けていた。

ちょっとした世間話みたいなものをして歩いていると前方から何かが向かってくる。
かなり暗めの廊下で何となくとはいえ、人と見えるソレは私たちと似たデザインの患者服というかなんというかそんなのを着ていた。顔はよく見えず、そのまますれ違った。

男性は「あ〜今日もか」って言っていた。
話によると男性が入院した時には既にアレは出現していたらしい。
目的は不明、性別は多分男性。恐らくこの病院で亡くなった患者さんということらしい。
大病院という訳では無いがやはりそれなりの病床数があるため、搬入された方の中にもやはり助からなかった方はいるのだろう。

2/3
コメント(5)
  • 先程豚トロを炒めて食べていたよ。

    2023/05/31/23:05
  • トントロを食べたがる(?)とか麦茶の味だけを消すとか一般的な幽霊とは毛色の違う挙動が面白い

    2023/06/01/22:46
  • 夜の病院は怖いですよね。
    私は、見えないので良かったです。

    2023/06/02/01:00
  • トントロ……私はお前が気になるよ…By投稿者

    2023/06/09/12:06
  • 特に深い意味も理由もないであろうトントロに妙なリアルさを感じますね。

    実際、人が死ぬ時って怪談になるような
    いかにもな大きな未練とか恨みがある場合ばかりじゃなくて(無論そう言うケースもあるでしょうが)
    何か取り留めもない日常の由無し事考えてたら気が付いたら死んでました…というケースも多いのかもしれません。
    それはそれで幸せな最期かもしれませんが。
    今際の際の残留思念みたいなのがちょっと聞こえた、くらいなものでしょうかね。

    2023/09/19/06:53

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。