奇々怪々 お知らせ

心霊

白と黒の旅人さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜散歩と再会
短編 2023/06/07 12:17 3,012view
2

皆さんは友達や家族を探して夜の町を探索するあの有名なゲームを知っているだろうか。
そう、夜廻シリーズのことである。

2019年7月、まだコロナが流行りだしていない時期のこと。
年毎に暑くなっていくこの国だが、山に囲まれている私の地元は更に暑かった。
ただ、その日は風があったりしたため比較的涼しかった。とは言っても30度はゆうに超えている。

夜風に当たりつつ、疲れたら眠くなるだろうと思い夜の町を散歩することにした私は数本の結構ルーメン(光の量)が多めなライト3本にスマホと財布、それとやっぱりこの町の夜は物騒なので塩と数珠とつい最近出てきた不審者対策に浸水などで車に閉じ込められた時、車のガラスを割って脱出するために買った警棒のような伸縮するやつ(とは言っても長さは30cm物差しよりちょっと長いぐらい)をいれたカバンを方から下げていた。

夜の11時半頃に家を出発したが、不思議なことに人に会わない。
この時間になると終電に乗って徒歩で帰ってきたのかやつれたサラリーマンがいたり、夜にも関わらず窓全開でFPSか何かをやっているのか叫んでいる近所迷惑な家があったりするのだがそういうものも聞こえない。

そんな状況で「まるで夜廻みてぇだな〜」と思いながら歩いていると、手持ちのライトに照らされて30m程先が埃が光を反射したときみたいになった。
砂埃が舞うような状況では断じて無いので経験的に「あ〜霊いるんだろうな〜。」と思いながら傍を通過する。

さすがに年単位でこういうものを見てきたもんだからもう慣れてしまっていた。
わかる人にはわかるだろうが、爬虫類の中でもツリーモニターとかのGを食べるタイプの爬虫類を飼っているとGに耐性がつくアレに似ている。

こんな感じで何人か霊らしきものをスルーしたりしたんだが、やっぱり人はみかけない。
町の中心部ならある程度人は居るかもと思いそのまま町の中心部を目指して歩いた。

町というだけあるのでところどころの家は昭和の町並みを残し、古びた看板や商店街の名残がある中、新しく出来たショッピングモールやスーパーの明かりが見える。
人のみかけない町でそういった施設の看板だけが光っている。ショッピングモールの店内も12時を超えた頃にはほとんど消えており、1部の専門店とかジムが空いていたりする程度だろう。駐車場に関してはよく見えなかった。

そして、町の中心部に着いた頃、辺りの雰囲気は一変した。
人の気配が完全になくなり、あるのは街灯とかだったりのみ。
そしてほんの僅かにあった人の生活の様子を飲みこんだように黒いモヤ達が現れた。
街灯に照らされて風景から切り取ったように黒いそれらは人が夜の町を歩くのと同じように動いていた。

怖いという思いはなく、むしろ「こいつらもこうなってから生きてた頃をなぞらえて活動しているんだろうか」とか考えた。

しかし直ぐに、外出したことを後悔するようなヤツとあった。
200m以上照らせる私のライトに、しっかりとした輪郭を持って映されたヤツは男性の顔や女性の顔が様々な表情でついていた。
いつぞやのお客さんが連れてきた「アイツ」である。
よりによって神社のやつ以上に見たくないヤツだった。形が違うので見間違えかと思ったがなんとなく、本能的なところで「アイツだ。」と確信した。

あれからそれなりに経ったためか、以前よりは小さくなっており、塊といった印象だった形が今では人が肩車しているようなシルエットになっている。

「相変わらず、気持ちわりぃヤツだな。」と向こうへ歩いていくアイツの背中に吐き捨てるように元きた道を戻って家へ向かった。
あいつは知る限り時速30kmかそれ以上で移動できるからだ。追いかけられたらまず逃げれられない。

家へ家へと向かっていくが道中、それこそ本当に夜廻のゲームのように黒いモヤ達が集まって道を塞いでいるところがあったためその都度回り道をした。
モヤ達が集まるのはだいたい商店街の入口付近で見るお地蔵様とかちっちゃいお社みたいな物。

1/2
コメント(2)
  • 投稿者様の話、どれも本当に面白いです。
    いつも楽しみにしてます

    2023/06/09/21:40
  • ↑ありがとうございます!噛みつくおっさんの話に関しては、傷跡まだ残ってるので写真ここに載っけてぇ

    2023/06/12/22:50

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。