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白と黒の旅人さんによるにまつわる怖い話の投稿です

百足というより百手(ムカデ)
短編 2023/06/12 23:38 2,319view
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過去にムカデの守護霊のような存在に簀巻きというか、護られているということを神主さんに教えて貰ったという話をした。
今回するお話はそのムカデの守護霊がどう言った存在かなんとなくわかった時のお話である。

まず、私の家にも6人と犬1匹の霊がいるらしい。
そしてその家にとり憑く霊達は時々私の夢の中に出てくる。
出てくるとは言っても悪いことは何もせず、むしろ会う気分が清々しくなる存在なのだ。

基本的に私が見える霊らしき存在は人の形をした黒いモヤだが、夢の中で見るその人たちは白い霧のようなものが綺麗な輪郭を保って存在している感じ。

140cm程のミドルカットぐらいの長さの女の子に私の膝上ぐらいの大きさの柴犬らしき影や甚平というか、着物を着た男性らしき影、縁側で座るおばあちゃんのような腰の曲がった影、夫婦ではないのだがどことなく仲良さげな印象を受ける男女の影だ。
そこにある日、2つ、追加されたものがあった。

ひとつは家の門の前だ。ソイツは青い着物に白地に緑の唐草模様の頭巾を被り、何かを背負ってニヤニヤしている。

もうひとつは私の家の屋根に何か大きなものがいる。屋根の上のやつは時折動くらしく、門の前のやつは何もしてこない。

そいつらが出てきてから私の夢は変わり、夢を見る頻度も多くなった。
まず、夢の中で朝にになると助走つけてニードロップしてくる女の子の影と枕元を吠えてはね回る犬の影。
だいたいそうされると夢から覚めて朝になっているのだが、その1人と1匹が家の門の前でニヤついているやつの真正面にいる。

次の日、居間によく居た40代ほどの男女2人が消え、この2人も門の前のニヤついているやつを睨んでいた。包丁とバットを持って。
ニヤついているやつはさらにニヤニヤ笑いが強くなる。

またその次の日、おばあちゃんの影と農夫らしき影がそれぞれはたきと鍬を持ってニヤニヤを通り越してケタケタ笑っているやつを睨んでいた。

その次の日、今度は6人と1匹が揃ってソイツを睨んでいた。ソイツは頭巾を取っていた。耳まで裂けたというのがふさわしい赤い歯茎と綺麗すぎる歯を見せてケタケタ笑い、背中に背負った何かからはGブリのような脚が見えていた。
私の方を指さしてケタケタ笑うソイツにさすがに腹立ち、私は家の中から車に閉じ込められた時に車のガラスを割るための警棒みたいなものを伸ばして構え、6人と1匹の間を通ってソイツの顔面をぶん殴った。

確かな手応えを感じてその日は目が覚めた。

連日続く奇怪な夢、徐々に変わるソイツの姿に嫌なものを覚えた私は、何となく、神主さんが教えてくれた「ムカデ」の存在を思い出した。

「ムカデってなんで出てこなかったんだろ。」

そう考えても答えにはたどり着かない。でも、なんとなく力を借りた方がいいのかなと思い、とりあえず、ペットショップで売っている爬虫類のエサ用のGブリを買って家の中に用意した虫かごの中に入れて置いた。

翌日、また夢を見た。
夢の中で見たのはまず、異様に暗い空だった。やるとかじゃなく真っ暗。と言うか、真っ黒。

その中で、各々の影たちはいつも通りにしていた。縁側で座っていたり、私の部屋にある思い出のこもった絵本を読んでいる影など、まるで家族の一時のような風景だ。
しかし、も門を見ればソイツはいる。顔を抑え、痛みか、私への恨みに顔を歪ませるソイツと目があった時、ソイツの顔が恐らく恐怖で歪んだ。

真っ暗な周囲が一際陰ったように暗くなる。
そして上に違和感を感じ見上げると、正しく「ムカデの腹」と言うべきものが見えた。大きさは10m近くあったかもしれない。

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