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心霊

八尺マンさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

封印した記憶
短編 2022/06/17 20:29 2,598view

何もわからずじまいか、と諦めかけたところで、棚の中から写真が数枚出てきた

その写真を見てみると、どれも俺が写っていた

俺が全身黒ずくめで何やらノートに赤いペンで文字を書いている写真だった
どうやら呪文のようだ

「うわぁ・・・。なんだよこれ」
いくら小学生の頃だったとはいえ、こんなことを真面目にやっていたとは恥ずかしい
どうやら場所はこの部屋の押し入れの中らしい
合計7枚
どれも同じような写真だ
アルバムから無くなっていた枚数と同じだ

ということは、こんな恥ずかしい写真を最初は普通にアルバムに入れていたのか
どういう神経だ

俺は恥ずかしい気持ちを抑えながら、母さんにこの写真のことを聞いてみた

「あら。懐かしいわね。見たら思い出してきた。何なのこれ? こんなアホな写真撮ってどうすんの? って私言ったんだけど、どうしてもこの写真をちゃんとしまっておいてって聞かなかったのよ。お父さんもこんなの真っ黒な服をどこで手に入れたんだ? 不気味だから捨てなさいって言ったんだけど、やっぱり聞かなくて」

どうやら変なスイッチが入ってしまっていたらしい
その後、正気に戻った俺がこっそりとこのアホな写真をアルバムから抜き取って、ここにしまったのだろう
そして、記憶から消し去った

人間、嫌な記憶をきれいに忘れる機能があるらしいから、ここまでほとんど忘れていたのもそういう理由だろう

俺は恥ずかしい数枚の写真を再び倉庫の棚の中に戻すことにした

最後のお別れということで、今一度写真を見てみる

どの写真も目が真剣だ

ある写真では何か機嫌が悪くなったのだろう
撮影者に文句を言っているかのようなカメラ目線のものがある

もっとちゃんと撮って、とでも言ったのだろうか

と、ここで一つ気が付いた

これ、誰が撮っているんだ?

母さんや父さんは俺がこんな格好していたこと知らなかった
なら、誰がこの倉庫の押し入れにいた俺を撮ったのだろうか

俺の友達?
いや、俺の家は学校から遠くて、それで小学生の時は一度も自分ちに友達を招いたことはなかったはずだ

なら、誰だ?

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