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不思議体験

とくのしんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

よくわからない女
長編 2023/05/02 09:49 23,932view
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今から10年程前の体験談。
俺は昔から今でいうマッチングアプリ、出会い系サイトを利用しては女と遊んでいた。その昔、スタービーチなんていう無料の有名なサイトがあってさ。これがまたかなり遊べたのよ。
なかには写真とは別人がやってきたり、それはもうバケモノみたいな女がやってきたこともある。でもそういう危機的状況に遭遇したときに、如何にスマートに逃げ切れるかっていうスリルも含めて俺は楽しんでいた。

長らくやっていると、時には美味しい思いをすることもあってさ。そりゃいい女がやってくることもあるんだ。そういう女と数か月、年単位で続くこともあってね、そんなことばかりやってると、まともに女と付き合おうなんてことは思わなくなるっていう弊害はあるんだけど、とにかく気楽に遊べるっていう気楽さが俺の性に合っていた。

で、話はここから。
ある年、転職を機にそれまで住んでいたところを離れたんだけど、それまで俺にはミカという都合のいい女がいた。彼氏持ちだったんだけどなかなかいい女でね、なんだかんだ1年近く続いた。ある日、連絡が来て仕事で何かやらかしたとかで静岡だかそっち方面に逃げるって言ってた。確か携帯の販売員をやってたはずなんだけど、販売員が何をやらかしたんだ?と言う疑問と、なぜ静岡?と思ったっけ。そんで彼氏はミカを追いかけていったらしいけど、散々俺の手垢ついた尻癖の悪い女をよく追いかけるもんだなと感心したよ。

ミカのあとは俺もしばらくそういう女がいなくてね。まぁ転職したてで仕事が忙しいっていうのもあったんだけど、落ち着いてきた頃にそろそろそういう都合のいい女が欲しくなってさ。また探したんだよ、サイトで。そしたらリエという自称大学生の女と知り合った。

最初はパパ活っていうの?援助目的だったんだけど、何回か会ううちにお金はいいってことになってさ。俺も若いのは久々だったし、何より巨乳だったのが一番気に入った点でね。Hカップとか言ってたかな?漫画みたいな巨乳なのに形は崩れてない。顔はまぁ及第点だけど体だけは極上だったね。ありゃ今思い出しても恋しくなる。

それから会う回数が増えるにつれて飯に行ったり飲みに行ったりする機会も増えた。リエはとにかく酒が強くてね、酒豪という言葉が良く似合う女だった。最初はそこそこだった酒の量も次第に遠慮がなくなっていって。酒の量に比例して自分の身の上話をすることも多くなっていった。

「自分はタイ人のハーフでタイ人の母親に虐待されて一度捨てられた」

「その後、施設に入ったことがある。そこでも酷いイジメや職員の性的な嫌がらせに自殺未遂を起こした」
「今は母親と二人で暮らしている」
「大学へは日本人の父親が援助してくれている」

出会い系をやってる女にはありがちな話でさ、俗にいうメンヘラが溢れているんだわ。リエもその類かと思っていたが、日本人離れした顔を見るとまんざらそうとも言い切れないのかもしれないと感じる部分も確かにあった。だからといってそれを聞いたから何をしてやれるわけでもないし、言い方悪いがこんな与太話は話半分で聞いておくに越したことはない。こういう相手に対し深入りは禁物だし、下手に同情なんてしちゃいけない。距離感大事にして自分の身は自分で守る、これが鉄則。

その日もいつものように飯を食ったあと、ホテルへ向かった。
軽く談笑したあとシャワーを浴びてベッドに潜り込み、そのあとはお楽しみタイム。お互い満足しあったところで今日は泊まって行こうという話になった。するとリエが少し気まずそうに枕を抱えながら話を始めた。
「あのね、今日病院に行ってきた」
「どっか悪いのか?」
「ドン引きしないで聞いてくれる?〇〇さんだから話すけど、実は私の中に別の人がいてね。最初は施設にいた頃に出てきたんだけど、施設出たあとしばらく出てこなかったんだ。それが最近になってまた出てきてさ。病院に行ったら解離性同一症って診断されたの」
「それって所謂多重人格ってヤツだっけ?」

「そう。よく知ってるね」

(おいおい、多重人格とか冗談でもやめてくれよ)
と思いつつも、俺は適当に心配する素振りをする。それに安堵したのかリエが過去発病したときからの話を続けた。長いので要約すると

・自分”リエ”以外に幼女、中年男性、よくわからない女が人格として存在する。幼少の頃に出てきたのは幼女と中年のおっさん。よくわからない女というのが再発してから出てきた。
・幼女は大人しく怖がり、おっさんはやや攻撃的、よくわからないのは本当によくわからない。
・別人格が出てきても自分の意識はあるらしい。ただ体を乗っ取られるような感覚で、体の自由は奪われる。
・人格が替わるときは予兆を感じるときもあれば唐突に替わるときもある。
・診断によれば幼少の頃の虐待や、施設でのいじめ等が起因していると思われるとのこと。

こんな話を延々と聞き続けるなかで、俺はリエとはこれっきりにしようと思っていた。後ろ髪を引かれる思いはあったものの、これが事実ならやばいことに巻き込まれる前に関係を切るべきだと判断したからだ。話を聞いてもらい満足したのか、気が付けばリエは眠りについていた。その寝顔を見て何も起きないことを祈りながら俺も眠りについた。

どれくらい眠っていただろうか?ふと目を覚ますと横にいたはずのリエがいない。
足元からチカチカと光を感じるので、テレビが点いているのを何となく理解した。足元に目を向けるとテレビの前で仁王立ちしているリエがいた。タオル一つ巻かず全裸のまま、俺に背を向けてテレビに向かって立っている。

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コメント(9)
  • もう少しすっきり読みやすく書かれたほうが怖さが伝わる気がします

    2023/05/03/11:47
  • お疲れさまですw

    2023/05/04/00:22
  • そんなに、色々な人格が自分のなかにいたら疲れそうですね。

    2023/05/05/17:00
  • こ、怖すぎ…

    2023/05/06/23:24
  • んー、出会い系だから仕方ないか。

    2023/05/11/21:39
  • いいねえ

    2023/05/20/06:49
  • 作者です。
    皆さまのおかげで久々の受賞を果たすことができました。
    これからも怖いと思われる作品、Youtubeで読んでもらえるような作品を手掛けていきたいと思います。怖いに投票してくれた皆様、本当にありがとうございました。

    2023/06/01/10:05
  • 出会系はメンヘラしかいない、この話は出会系好きの私からしたらホントに真実の話である。

    2023/10/06/01:08
  • 出会い系女の大半がリストカットの跡があるからね。わかりますよ。

    2023/10/30/02:32

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