【short_03】オウム

ウチで飼っていたオウムは本当に良くしゃべる子で、しかもしゃべるだけではなく、声質までそっくりにマネすることができる。それだけではない。呼び鈴や電話の音、iPhoneの起動音からゲームの音までそっくりにマネをする。だからウチではアレクサも使えない。オウムが操作してしまうからだ。

それくらいそっくりなモノマネで、いつも私たちを笑顔にしていたオウムだったが、ある日を境に怖い存在になって行った。

それは母が亡くなってからだ。母が亡くなったその日から、オウムは何度も何度も同じシーンを繰り返すのだ。

「ピンポーン　ピンポーン　お届けものにうかがいマシター・・・はーい・・・ガチャ・・・オイ、静かにしろ、カネをダセ・・・キャー!!誰か!助けて!!・・・騒ぐな!!・・・ドガッ!! ぎゃああああ!!・・・くそ、やっちまったぞ・・・やべぇ、ずらかるぞ・・・オ・トウサン・・・た・す・け・て・・・た・す・け・て・・・・オイ、しっかりしろ!オイ・・・た・す・け・て・・・なんだ、傷は浅いじゃないか・・・今、楽にしてやるからな・・・あ、あなた・やめて・・・・・ドガッドガッ、ガン、ガン、ガン!!・・・ふぅ・・・死んだか・・・よし、警察に連絡するか」