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ヒトコワ

kanaさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

美しい女
長編 2024/01/01 00:13 9,445view
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ある日の夕刻。

残業もなしで帰宅の途についたボクは、駅のホームでちょっとだけ驚いた。

なんだかいつもより人がたくさんで大混雑なのである。

いくら帰宅時間だからと言っても、いつもはもっと楽にスイスイと乗れたのに。

そう思いながら、普段は乗らない少し空いていた後ろ寄りの車両に乗った。

座れはしなかったが、なんとか手すりにつかまる事ができ、電車は定刻通り出発した。

スマホを見ながら時間を潰す。

ふと見ると、スマホの背後に女性の足が見えた。

ボクの前の席に座っている女性の足が、スマホ越しに見えたという感じだ。

とても美しい、長くて白い足。短めのタイトなスカートで内モモあたりにホクロがある。

こんな黒い点がひとつあるだけでセクシーさがアップするのだから、ホクロとは不思議なものだ。若く美しい足を見たのだから、その上も見たくなるのは人情だろう。

ボクはなにげなく視線を上の方にも向けた。

髪は黒のストレートでロング。モデルのようなシュッとした感じで、誰もが美人と太鼓判を押してくれそうな女性だった。

ただ、ちょっと不思議だったのが、着てるものが就活生がよく着ているような女性用スーツで、時期的に今はそんなシーズンでもないし・・・中途採用の面接にでも行ってきたのだろうか・・・と余計な詮索をした。

(自分が面接採用官なら、即採用してもいいなぁ、この子なら)

そんな妄想が膨らんだ。

電車が次の駅のホームへ入る。

彼女は少し振り返り、窓の外を見ていた。

その瞬間、彼女は目だけを『ギロッ』とさせ、こっちを見た。

しまった・・・視線がバッチリあってしまった。・・・なんとも気まずい。

ボクはすぐに視線を外してスマホを見る。

(あなたの太ももなんか見てませんよ~)という態度で、スマホを読んでるフリをした。

アブナイアブナイ・・・少し焦りながらも、なんとか落ち着こうとしたその時、

彼女がおかしな行動に出た。

足を組んで、指は自分のアゴのあたりに置いて、ポーズをつけてこっちをガン見しはじめたのである。あまりの堂々としたガン見に、最初はボクの後ろの方にある広告やモニターでも見てるのかな?と思ったが、いや、間違いなく彼女はボクをガン見している。しかも笑顔まで作ってポーズを決めて来た。まるで写真でも撮ってくださいと言わんばかりのモデルポーズだ。

(イヤ、バカな・・・ただチラっと目が合っただけのおっさんに、こんな態度でガン見してくるなんて、ありえるか? しかも電車内で)

ボクは軽くパニックになりそうだった。と同時に、これは目を合わせちゃダメなやつじゃないか?と思い、必死にスマホを読んでいるフリをした。

(いったいなんだ?もしかして抗議のつもりだろうか?ナニ見てんだよって・・・そりゃ確かに太ももはチラリと拝見させていただいたけど、ジロジロと品定めしたわけでもなく、痴漢をしたわけでもなかろう。美しいものが目の前にあれば、きっと誰だって見るに違いない)

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コメント(1)
  • kanaです。あけましておめでとうございます。
    本年もよろしくお願いします。
    相変わらず何度読み返してもところどころに誤字脱字があって、
    あとから修正したりしてます。
    誤字脱字を見つけたらぜひコメント欄でおしらせください。
    。。。10月くらいに書いた「母の生まれた謎の集落」なんて、12月に入ってから「40年」と書くところを「40」としか書いてないのを見つけて恥ずかしい思いをしました。
    「40」で配信しちゃった朗読者の皆様、ごめんなさい。
    ボクの作品は誤字脱字だと思ったら勝手に修正いれてオッケーです。
    今年もよろしくお願いします。

    2024/01/01/08:24

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