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ヒトコワ

キミ・ナンヤネンさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

山の守り人
長編 2023/05/06 02:26 12,528view
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〈案内って、どこへ?〉

そう思う間もなく、男は歩き始めた。

俺は急いでリュックを持って男に付いて行った。

しかし、途中で妙な事に気が付いた。

男はスイスイと木々の間を何の躊躇も無くあまりにもスムーズに、大げさに言うと、まるで決まったレールの上を滑るように進んでいたのだ。

地面のたくさんの落ち葉やゴロゴロしている石ころのせいで、俺はそのスピードに全く追い付けず男を見失った。

あきらめてゆっくり歩いていると、俺はある1本の木が目に入った。。

その木の根元には服が似ぎ捨ててあったのだ。

暗くてよく見えないが、おそらく一人分の服一式だろう。

近づいて手に取ってよく見ると、それはさっきの男が着ていた服装と同じように見えた。

〈どういうことだ?〉

そう思うやいなや、誰かから後ろから羽交い絞めにされた。

「ぐあっ、は、離せ…!」

俺は必死にもがいて抵抗していたが、後ろの人間は、どうやら全裸に近い男だとわかった。

「お前、さっきの…!?」

男は何も返事をしないで、羽交い絞めを続けていた。

しかし、男はその力にそぐわない程に体重が妙に軽く感じた。

俺は足を後ろに伸ばし、男の足の間に入れて引っかけるとあっけなく男は倒れこんだ。

男は起き上がろうとして四つん這いになり、呼吸を整えている。

俺はリュックからロープを取り出して男の後ろから首に巻き付けた。

男は観念したのか、抵抗せずに首を絞められるがままになっていた。

ロープに力を入れて絞めると、その分だけ男の首に食い込んでいった。

絞めれば絞めるほど、その分だけ首は細くなっていった。

〈何かおかしい〉

いくら締め付けていても、さすがにこれ以上は細くならないだろう。

そう、この細さは首の骨そのものといっていい。

おれはもう一度、グイっと力を入れてみた。

『ポキッ』

骨が折れた音がした。

それはまるで、枯れた細い木の枝を簡単に折ったような感触だった。

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コメント(1)
  • ご冥福をお祈りします。

    2023/05/06/21:33

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