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都市伝説

キミ・ナンヤネンさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

天気予報のBGM
短編 2024/02/25 03:59 1,838view
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某F県出身の友人Gから聞いた話。

深夜、テレビの放送終了の直前には天気予報が放送されることが多い。

F県のあるローカルテレビ局でも、深夜にテロップとBGMだけの天気予報がある。

なんでも、そのBGMはおよそ40年も変わっていなくて、別の番組でも時々使われるから、F県民なら必ず聴いた事があるという。

実は、そのBGMを作曲したのはKという人物で、かつて一世を風靡した、日本では知らない人はいないくらいのミュージシャンなのだ。

当時のテレビ局の担当者がBGMを作ってくれる若手のミュージシャンを探して目を付けたという話だ。

ところが、Gによると、この曲を聴くと恐怖を覚える人が少なからずいるという。

中には、その曲を聴くと幽霊が現れるとか、何か怖いことが起きるという話まであった。

詳しく聞いてみると、夏休みなどで夜更かしをして天気予報を偶然見ていた小中学生に多いらしい。

その記憶から、トラウマとでもいうのか、大人になってもその曲で恐怖を感じるという。

僕はGに、子供が夜更かしなんてするから深夜の時間と相まって「深夜=恐怖」という図式がいつの間にか「天気予報のBGM=恐怖」にすり替わったんだろう、という仮説を唱えた。

しかし、音楽や作曲家に詳しいというGによると、その曲に使われている「コード進行」に秘密があるのではないか、という見立てだった。

僕はあまり音楽に詳しくはないが、コード、つまり和音の使い方や組み合わせで曲のイメージというか曲の雰囲気が決まるという、重要な要素があるとの事だ。

もしかしたら、コード進行によっては、聞き手の感性に大きな影響があり、何か心理的な変化をもたらすことがあるのではないか、というGの説明だった。

確かに、Kが一世を風靡した頃の曲は、聞きようによってはどれも同じように聞こえるという人もいて、そのK独特のコード進行を「K進行」と名付けた分析や解説を聞いた事があった。

当時無名だったKがその曲を作った頃は、「K進行」がまだ確立されていなかったのかもしれない。

という事は、感性が豊かな小中学生がその「未完成のK進行」が使われた曲を深夜に聴くと、それを恐怖として感じ取ってしまうのだろう。

これが「天気予報のBGMを聞くと何か怖いことが起きる」というF県に伝わる都市伝説について、僕とGが出した結論だ。

F県では、この曲が今でも毎日のように番組で使われている。

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コメント(5)
  • こういった話大好きです!

    2024/02/25/08:23
  • とってもおもしろいです。気になる~、曲聞いてみたい~~(kana)

    2024/02/25/10:16
  • F県もK氏も、そしてこの曲も実在します。
    K氏がメンバーのグループのアルバムには歌詞が付いたものが収録されていて、歌詞カードにはそのテレビ局の名前も掲載されています。
    しかし、F県にこの都市伝説があるかどうかは確認できません。
    作者より

    2024/02/25/20:46
  • 調べたら多分、これかなというのがありました
    怖いとは全く思いませんでしたΣ(゚д゚lll)
    明るい曲だと思いますが、違ってましたでしょうか?

    2024/02/27/08:30
  • 幸せなふたりを祝福するという明るいポップな曲です。
    ボーカルを無くしてBGM用にアレンジしてますが、その印象はほぼ変わりません。
    しかし、この曲を深夜に聴くと何だか怖い、という人がいるようです。
    ただ、この曲にK進行、あるいは未完成のK進行が使われているのか自分にはわかりません。
    くれぐれも、K氏の氏名や曲のタイトルが特定できたとしても、各方面に迷惑が掛かりますので、ここにはその名前を書き込まないでください。
    作者より

    2024/02/27/19:21

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