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ヒトコワ

キミ・ナンヤネンさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

隣人の赤ちゃん
短編 2023/10/02 02:07 3,273view
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俺が住んでいるアパートの隣の部屋に、新しい人が引っ越してきた。

その隣人は、20代前半くらいの若い母親と、抱っこをしている様子から、生後数か月といった赤ちゃんの親子だ。

たまたま引っ越しの様子を見ていたが、荷物は軽トラ1台分程しかなかった。

しかも、父親がいる様子は伺えないし、いかにも「訳アリ」という雰囲気の親子だった。

それからは、俺が出かけたり帰ってきたりする度に、その母親と顔を合わせる事となった。

そんな時は、母親は決まって赤ちゃんをベビーカーに乗せてあやしていた。

しかし気になるのは、俺が「こんにちは」と挨拶しても帰って来る返事の声は小さく、表情が暗かった事だ。

それもそのはずというか、部屋にいると赤ちゃんの泣き声が俺の部屋まで聞こえる事があった、

いつしか、毎日のように赤ちゃんの泣き声と、時々聞こえる母親の怒鳴り声が次第に当たり前になっていた。

俺はアパートの角部屋で、それまでその隣の部屋は空き部屋だったから静かでよかった。

しかし親子はもはや騒音でしかなく、とても落ち着けるような環境ではなくなってしまった。

とは言え、やはり隣人だから仲よくしようとは思っていたから、会った時は挨拶と何か一言いう事にした。

最初は天気の話に始まり、赤ちゃんは何か月ですかとか、近くにベビー服のチェーン店がありますね、とか声を掛けたら母親の気持ちも少しは良くなるだろうという魂胆だった。

母親はだんだん話をしてくれるようになってきたが、その声は小さく、表情が暗いのも相変わらずだった。

それからは、だんだんと赤ちゃんの泣き声は小さくなっていき、母親の怒鳴り声も少なくなっていた。

親子が引っ越してきて1ヶ月ほど経った頃、赤ちゃんの泣き声は聞こえなくなった。

あれほど赤ちゃんの声が聞こえていたのに、ここ1週間ほどは赤ちゃんの泣き声も、母親の怒鳴り声も何も聞こえなくなっていた。

俺は赤ちゃんと接することが少なく、その様子がよくわからないのだが、赤ちゃんというのは環境の変化に敏感なのかもしれない。

だから、引っ越したばかりの時は泣き声が大きく、慣れてくれば次第に落ち着くものだと考えた。

ある日の事、アパートに帰ると、母親はいつものように玄関の前でベビーカーを揺らしていた。

「こんにちは。赤ちゃんはかわいくていいですね~。」

と言って俺は赤ちゃんの顔を覗き込もうとすると、母親はそれを遮り

「ごめんなさい、今やっと寝付いたばかりだから…。」

と言ったところで、部屋の中から携帯の呼び出し音が聞こえた。

母親は手元に携帯が無いのに気が付き、赤ちゃんをベビーカーに残したまま、慌てて部屋に入っていった。

このまま赤ちゃんを放っておけないから、母親に代わりベビーカーをゆっくりと揺らしていた。

そういえば、この赤ちゃんの顔を一度も見たことが無い事に気が付き、その顔を覗いてみようと思った。

小さな毛布をめくると、そこにあるのは、ロール状に丸められたバスタオルだった。

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コメント(6)
  • まさか、、、((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

    2023/10/03/20:49
  • 赤ちゃんは?

    2023/10/08/17:47
  • まじか

    2023/10/10/16:24
  • 全然意味わからん…

    2023/10/25/20:20
  • 一番下の意味わからんってコメントしてるやつ理解力なさすぎ

    2023/10/28/18:50
  • 赤ちゃんが…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

    2023/11/07/19:56

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