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呪い・祟り

峰さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

都市伝説を“特定”したら……
長編 2022/03/05 21:56 29,004view
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数年前に、知り合いのNさんから聞いた体験談だ。

当時Nさんは、大学のサークルで知り合ったAくんという同級生と付き合っていた。
Aくんは一緒にいると楽しいお調子者タイプ。
いつも明るくみんなを盛り上げてくれるAくんのことが大好きだったそうだ。
しかし、Aくんには一点だけ、Nさんにも理解できない変わった趣味があった。

実は、Aくんはかなりのオカルトマニアだったのだ。

怪談や都市伝説を収集するだけでなく、舞台となった現場を“特定”し、いわゆる“乗り込み”をするのだという。
特に、「自殺の名所」とか「殺人事件の現場」などの、実際に人が死んだ場所を夜に訪れるのが好きだった。
Nさんもたびたびその肝試しに誘われていたそうだが、彼女はどちらかと言うと怖い話が苦手だったし、勝手によその敷地に入っていく行為は当然ダメだろうと思っていたので、そういうことはやめた方がいいよと止めこそはすれ、同行することは一度もなかった。
そのため、Aくんから「今度はどこそこに行くんだ」とか、「こないだ行ったどこどこはかなり雰囲気があった!」という報告だけを聞いて、適当に相槌を打っていたそうだ。

ある時、Aくんがこんなことを言ってきた。

「実はさ〜、隣町にめちゃくちゃヤバいスポットがあるらしいんだよね」
「えー、何?また例のオカルト?」

Nさんが、内心またかと思いながら尋ねると、Aくんは嬉々として頷いた。

「そうそう。なんでも、その家を見つけて中に入ってしまった人間は必ず死ぬっていう呪われた家なんだって〜。行きたいんだけどさ〜、具体的な場所が不明なんだよね」
「なにそれ。どうせ噂でしょ?」
「いやいや、ガチなんだよ。俺の先輩の知り合いの彼氏もマジで死んじゃったらしいし」
「いやいやいや、それ絶対嘘だって。ないない」
「え〜、やっぱりそうなのかな〜」

その時は、そんなふうに笑い話で終わった。
しかし、どうもAくんは、その呪われた家とやらをずっと隠れて探していたようなのだ。
隣町にあるのに詳細不明という点が、マニアのオカルト心をくすぐったのだろうか。

もっともNさんは、Aくんの様子には気づいていたものの、どうせただの都市伝説だ、馬鹿馬鹿しいと思い、放っておいたのだという。

ところが、その会話をして1か月ほど経ったころ、突然Aくんと連絡が取れなくなった。
電話をしても繋がらないし、LINEも既読にならない。
学校にもやってこないし、家も留守にしている。
共通の友人から「あいつ、いまどうしてんの?」と聞かれるが、Nさんにも全くわからなかったそうだ。
黙って旅行にでも出掛けているのだろうか?いや、それにしては電話も通じないのはおかしい。警察に通報した方がいいかな?いや、その前に実家に連絡するべき?でもAくんの実家の連絡先なんて知らないし……大学の事務局に相談しようか?
そんなことを考えていたら、連絡がつかなくなった時と同じく、突然Aくんが帰ってきた。

今まで何してたの、どこに行ってたの?!とNさんは問い詰めたが、どうもAくんの様子がおかしい。
いなくなっていたと言ってもせいぜい1週間なのに、Aくんはゲッソリと痩せこけて、濃いクマが浮かび、目もギョロギョロと血走っている。
そして、何を聞かれても「ああ、うん」と生返事しかしない。
1週間の間何をしていたのかもどこにいたのかも頑として教えてくれないのだと言う。
Nさんは、まさか妙な事件にでも巻き込まれたのではと心配で仕方なかったが、Aくんが何も話してくれない以上、とにかく怪我もなく帰ってきたから良かったと納得するしかなかった。

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コメント(2)
  • 北海道だよね?

    2022/11/23/23:52
  • 特定しました

    2023/06/16/12:57

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