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不思議体験

煙巻さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

花いちもんめ
長編 2022/06/03 12:00 2,775view
あれは俺がまだ小学生で、祖父母の家に遊びに行った時の事だったと思う。

俺が小学生の頃は、まだスマホなんて存在していないし、sw〇tchとかP〇なんてゲーム機もなかった。
学校の休憩中には皆外でサッカーとかドッジボールなんかして遊んでたし、放課後も友達と近くの公園や空き地に行って外で遊ぶのが主流だったんだ。

夏休み、俺は例年通り祖父母の家に両親と共に遊びに来た。

「じいちゃん、ばあちゃん。元気だった?」

「おうおう、よく来たねえ」
「おかしあるけん、食べ」

祖父母は手放しで俺の事を可愛がってくれたから、俺は祖父母が好きだった。
田舎特有の日本家屋とか、広大な敷地に連なる田畑とか、冷たい水が流れる自然の小川とか。
そんな風景に囲まれた祖父母の家はまさに子供にとって未知のワクワクが潜む宝箱だ。

俺は田舎に来て早々に外を探検してくると言って家を飛び出す。

俺が外を探検するのは毎年の事で、去年なんかも町の子供達と仲良くなって遊んでいたから親も引き留める事はせずに「川とか危ない所には行くなよー」と軽く注意を促すだけで見送ってくれる。

まあ、川には行くんだが。

畦道を少し進んで雑木林とでも言うのか、草木が生い茂る川沿いの道を暫く登っていくと、ちょっとした滝壺の様な上流があり、そこの水場は絶好の遊泳スポットだと地元の子供達に教わった事がある。

このクソ熱い時期にはやはり川遊びは外せない。

俺は茂みを掻き分けて滝壺に顔を出すと、冷たい水飛沫と濁流の音が飛び込んでくる。

最初はもしかしたら地元の子供たちが数人居ないかなとも期待していたが、そこに居たのは一人の女の子。
薄っすらと肌に張り付いた薄水色のワンピースを着た、俺と同じくらいの子供。

『あーの子が欲しい…あーの子じゃわーからん』

女の子は童謡の花いちもんめを歌っているようで、水際にある岩場に座り水面に顔を下げて口ずさんでいた。

俺は後ろから声を掛ける事にした。

「こんにちわ、俺〇〇のじいちゃん家の孫」

今思えば、じいちゃん家の孫って意味が分からんと反省するが、田舎では〇〇さん家の家の子と自己紹介した方が通じるのだ。
女の子は俺の存在に気づくなりゆっくりと振り向くんだけど、鼻先まで垂れた前髪のせいでどうにも表情というか顔の印象を掴めなかった。

「何して遊んでるの?」

俺は興味津々という振舞で女の子の近くに立って水面を覗き込む。
そこには特に何も無かったが、女の子は足首まで浸かった爪先で水面に渦を描いていた。

反応が少ない女の子を脇目に、随分とシャイな子だな、なんて呑気に思いながら隣に座る。
靴を脱いで水面に足をつけるとやはり冷たくて気持ちが良い。
これだけで田舎に来た甲斐があるというものだ。
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コメント(2)
  • どこか切ないお話ですね
    面白かったです

    2022/06/12/16:28
  • 見つけてほしかったんかなぁ

    2022/06/16/18:17

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