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呪い・祟り

A123さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

雛人形の呪い
短編 2022/01/16 18:47 5,336view
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離れて住んでいる父方の祖母はしきたりを重んじる人だった。
特に四季折々の行事を重んじ、ただ一人の女孫である私の為にと雛段を送ってくれた。
祖母がご先祖様から受け継いだらしい五段飾りの雛段はとても立派だったが、実際の所恐怖を感じたのは否めない。
夜トイレに立った時に闇の中に浮かび上がる雛人形の顔は恐ろしく、私は全力でその前を駆け抜けた。

3月3日の夜……正確には3月4日の午前2時頃、尿意に襲われて部屋を抜け出すなり妙な音を聞いた。
雛段が飾られた部屋だ。泥棒を疑ってこっそり覗いてみると、衝撃的な光景を目の当たりにした。美しい十二単を纏ったお雛様がカタカタ動いているのだ。他の人形やお内裏様は微動だにしておらず、何故かお雛様だけが震えていた。

何がなんだかわからずパニックで固まっていると、お雛様が急にぴたりと止まって振り向いた。

恐怖が絶頂に達した私は全速力で逃げ帰り、部屋で寝ている両親を叩き起こして異変を訴えた。
半信半疑の両親が雛人形を一体一体あらためているのを固唾を呑んで見守るうちに、恐ろしい事実が判明した。
お雛様の首が抜けて、その体内の空洞から一枚の紙片がでてきたのである。だいぶ古く傷んだ紙だ。
紙に書かれた文章を読んだ両親は瞬時に青ざめ、見せてとせがむ私を強く叱責した。
翌朝、両親は雛段のお焚き上げを頼んだ。この事と関係あるかどうかは不明だが、祖母は数日後に亡くなっている。

あの紙は祖母が入れたのだろうか。何が書いてあったのだろうか。どうして私は見せてもらえなかったのだろうか。
のちに私が母の浮気でできた子とわかり、呪いをかけたくなった祖母の心情も理解できたのである。

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関連タグ: #トイレ#人形#雛人形
コメント(1)
  • 呪いが返っていったのかな

    2022/01/16/19:27

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