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妖怪・風習・伝奇

空穂さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

おまご様
長編 2021/11/07 12:06 5,271view
友人のAから聞いた話だ。

Aは現在結婚して、2人の子供に恵まれている。
これは、Aが下の子を妊娠していたときの話だ。

ある日、旦那と義父から、
「お爺さんとお婆さんが元気なうちに、曽孫の顔を見せたい」
と持ちかけられた。

旦那の祖父母は、遠い山陰の山奥で暮らしている。
2人とも90歳を超えた高齢ということもあり、Aが顔を合わせたのは結婚式の時だけ。
上の子が産まれた時も、電話をしたり写真を送ったりしただけで、直接は会っていなかったという。

しかし、旦那からしてみれば、自分を可愛がってくれた祖父母。
やはり一度くらいは曽孫の顔を直接見せてあげたいと思っていたそうだ。
その気持ちはAにも理解できたため、安定期に入ってから連休を使って連れて行ってもらった。

ただその時も、曽孫の顔を見せたいなら下の子が産まれてからの方がいいんじゃないかな?とは思っていたらしい。
まあ、出産予定日が冬だったから、雪が降ると山陰は交通の便が大変だし、翌年の夏を待っていたらお爺さんたちも元気かわからないし……と、勝手に納得していたそうだ。

そんなこんなで、旦那と義父も一緒に、お爺さんの家に着いた。
2人とも、「懐かしいなー、懐かしいなー」と、やたらとテンションが上がっていて、「Aを連れて来れて本当に嬉しいなー、来てくれてありがとう」と何度もお礼を言われた。
Aも嫌な気はしなかったから、「私も来れてよかったです」とニコニコしていたらしい。

旦那の祖父母もすごく歓迎してくれたそうだ。
特に、お腹の赤ちゃんのことはこっちが恐縮してしまうくらい喜んでくれたという。

Aの子どもは、上は女の子。
下の子の性別は、その時にはもう診断されていて、ほぼほぼ男の子だろうと言われてた。
田舎の古い考え方と言ったらそれまでだが、祖父は「後継ぎだ、大事な跡継ぎだ」と言って、ものすごくはしゃいでいたそうだ。
「Aさん、身体を大事にして元気な赤ちゃんを産みなさい」と何度も言ってくれた。

ところで、祖父母の家はかなり広い日本家屋だった。
小さい子なら4、5人集まっても隠れんぼが出来そうなくらいの広さだ。
田舎では普通の大きさらしいが、Aには十分珍しかった。

「立派なお家ですね」と感心していたら、祖父が喜んで、旦那に「ちょっとAさんに家を案内してあげなさい」って言ってくれたらしい。
それで、Aは旦那に連れられて、ぐるっと家の中を見て回ることになった。

「ここは縁側、ここは仏間」なんて色々と説明してもらっていたが、Aたちが泊まる予定の客間に入ろうとしたとき、不思議なものを見た。
障子の向こうに、黒い子どもみたいな人影がサッと過ぎったような気がしたそうだ。
あれっ?と思ったが、そのとき家にいる小さい子なんてAの長女しかいない。長女はAが手を繋いでいたから、障子の向こうにいるわけがない。
それに部屋の中に入ったら、当然誰もいない。
Aは何か見間違えたか、気のせいだろうと思って、特に誰にも話さなかったそうだ。
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コメント(4)
  • なにこれめっちゃ面白い

    2021/11/07/13:01
  • 正体が気になる
    やはり悪霊の類なのだろうか

    2021/11/07/13:51
  • 得たいの知れないものが入ってくるのを拒否出来るなんて凄い精神力ですね。

    2021/11/07/17:57
  • ハイレタ…ハイレタ…

    2021/11/23/00:25

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