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呪い・祟り

バクシマさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ガラスのメモリー
短編 2024/04/02 07:08 963view
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最後に見たのは強い光だった。
気がつけば街を徘徊していた。
自分が誰なのか ここはどこなのか
思い出せない
ボーッとしていたせいで危うく車に轢かれそうになったときだった。
「おじいさん危ないよ!」
そこを一人の中年女性に助けられた。
どうしたのと尋ねられたので、記憶を失い、行くあても無いと応えた。
それならば、と彼女は私に、しばらく自分の家に住むと良いだろうと提案してくれた。
私は有り難くその申し出を受け入れた。
彼女に連れられ、とある一軒家に案内された。
彼女の家には年の頃十歳くらいの男の子と女の子も住んでいた。
男の子をトシオ 女の子をカダコといった。
トシオは人懐っこく、カダコは物静かだった。
そして二人とも、着ている服が裏返しであった。
こうして私たち三人の生活が始まった。

それからいくばかりかの歳月が流れた、
街を歩いていると、
偶然、男性に取り憑いている悪霊を見つけた。
どこかで見たことある人だなとしばらく考える。
そうだ、死んだ親父じゃないか。
親父は悪霊になっていたが、私も悪霊であったのでそこは問題はなかった。
駆け寄って親父に話しかける。
しかし、お前は誰だと尋ねてくる。
親父は記憶を失っていた。
「俺だよ 次太郎 アンタの息子だよ」
そう言った瞬間、私は記憶を全てを思い出せた。
私は取り憑いている親父を男性から引っぺがして、自宅へと向かった。
「ああ、そうだ。ここだ ここだ」
親父も記憶を取り戻したようだ。
しかし、家はもぬけの殻。
それはそうだ。独身の私は、親父亡き後は独りで暮らしていたのだから。

久しぶりの我が家を見て周った。
仏間に自分の遺影が置かれていた。
やはりあの時、車に轢かれて死んでいたか。
親戚の誰かが置いてくれたのだろう。意味もないのに。
ここに居ても仕方がない。
私は親父を連れて、トシオとカダコのいる家に向かった。
帰ってから、二人に親父を紹介する、
「よろしくたのむよ」
二人は横一列に並び、手の甲をパチパチと鳴らして拍手してくれた。
親父は照れ臭そうにしてから、居間にいる中年女性に目をやり、怪訝な表情になる。
「あちらのひとには挨拶せんでも良いのか?」
中年女性は何も映っていないテレビを、口を開けて眺めていた。
「良いんだよ。アレは私を轢き殺した女だからな。もう少しで死にそうなんだ」
「そうか。それなら、もうすぐ家族の仲間入りなんだな」
みんなで彼女を囲い裏拍手をする。
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ

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