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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

押入れの子ども
長編 2022/04/15 00:19 2,880view

ただの「みしみし」するだけの物音だったら私も無視できたかもしれません。古い家だとそんな音はよくあることだからです。
しかし、そうではなく、突然「ごとん」とか「ごろっ」とかよく分からないけど何か重い荷物が落ちたり、転がるような鈍い音が聞こえるのです。
軽い布団しか入れていないはずなのに、そんな鈍い物音に心当たりがなく、すごく困惑しました。

音の原因が何かということは、気になって仕方なかったです。
しかし、もともと怖がりな私にはどうしても音の直後に押し入れを開けて確認することができませんでした。

後日、大家さんに報告して確認してもらったのですが、やっぱりその音の原因は分からなかったです。
大家さんも「そんな音がするようなものは置いてないですよ」と言っていました。
そのまま原因が分らぬまま大家さんは帰っていき、私も1回目は疲れによる空耳だったと思うことにしたのです。

しかし、その後も同じように押し入れから「ごとん」とか「ごろっ」とか何か重いものが倒れるような物音は無くならず、むしろ頻繁に続きました。
原因が分からないせいで、より不気味で怖かったです。

この物音がする押し入れですが、私が一人のときは毎日のように音がするのに、聞こえない日があります。
それというのが私以外の人が泊まりに来た日です。

私の兄は私があまりに押し入れの音を怖がっているので、見に来てくれた日がありました。
でもその日はなぜだか押し入れから物音ひとつしませんでした。

また私のオカルト好きの友人が「泊まってみたーい」と言い出した日があって、この日もアパートに人を泊めました。
そしたらその日もあの音がしませんでした。

私はこの2回の経験から、自分一人のときしか、押し入れの物音はしないんだと言うことが分かりました。それにより不安感が一層増しました。

そして思い出しても鳥肌が止まらなくなるあの日、私はふと夜中に目覚めて、トイレに行きました。
普段は朝まで起きないタイプなのですが、なぜかその日夜の3時頃に目が覚めたのです。

トイレに行きたくてそわそわし、私はトイレを流して寝室に戻ってきました。

そして布団に入ろうとして、ぎょっとしたのです。
なぜならあの押し入れの戸が微妙に開いていたからでした。

押し入れから音がするようになって、私は布団を押し入れに仕舞うのをやめたのです。
だからその押し入れは全然使っていない状態で、私が押し入れを開けるはずがありません。
それなのに押し入れの隙間が勝手に開いていることにぎょっとして、私はそこから一気に目が覚めました。
驚きすぎて、身動きを取れない状態の私にさらに畳み掛けるように、押し入れの中から「ごとん」という、いつものあの音がしたのです。
私は目の前で起こっていることが信じられなかったです。

押し入れの隙間から何かが転がってきました。
私はそれを見て、気絶しそうになりました。だって転がってきたものは、明らかに人の生首だったからです。

それが私の方にゆっくりとごろごろと転がって、近づいてきました。
普段の私ならすぐさま恐怖で一目散にこの場から逃げていたと思います。

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