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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

忘れさせてくれない
長編 2023/04/11 21:15 4,752view
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あれはぽかぽか暖かくなってきた春先のことでした。

私は今までにないほどの悲しみを味わうことになりました。

恋人が勤務中の事故で亡くなったのです。

お付き合いしてもうかれこれ6年ほど経っており、そろそろ入籍しようかと話していた矢先のことでした。

まさか恋人が亡くなるだなんて信じられず、しばらくの間、放心状態で毎日を過ごしました。

恋人とは結婚を前提にお付き合いしていたので、恋人のお父さんやお母さんとも面識がありました。

恋人は一人っ子だったこともあり、二人ともかなり意気消沈し、落ち込んでおりました。

何度も泣いたし、なぜ彼がこうなってしまったのかと神様に恨みつらみを抱くこともありました。

実は彼の後を追ってしまおうかと、頭の片隅でちらっと考えたこともあります。

そんなどん底の私を両親や友達がとても心配し、何かと私の世話を焼いてくれました。

元気を取り戻すように気分転換させてくれたり、相談に乗ってくれたり、とにかく優しく励ましてくれました。

そういう周りの人の手助けがあって、私は少しずつ彼がいなくなって落ち込んだ心を癒していったのです。

おかげで恋人が亡くなって2、3年ほど経った頃には「もう前を向いて歩こう」と自分を奮い立たせることができました。

彼の死の悲しみがやっと癒えてきた頃に、私は一つの決断をしました。

もう後ろ向きなのはやめて、前を向いて生きていくために、生前の彼との思い出の品を処分しようと決めたのです。

彼との思い出を処分したかったわけではないのです。

ただこれがあると私はずっと恋人のことを忘れられず、二人の思い出を思い出しては泣いて過ごすことになると思いました。

悲しみに暮れるのを辞めたかったのです。

そんな理由から私は彼との思い出を片っ端から処分することにしました。

すべてゴミ袋に入れて片付けると、部屋からすっかり物が減って、物寂しい感じがしました。

ごみを出して家に戻ろうとしたときに、誰かに呼ばれた気がして私は振り返りました。

でもそこには誰もいなくて、どうしようもない淋しさと罪悪感に後ろ髪を引かれながら家に戻りました。

その日から約1年ほど経った頃に、私は職場で素敵な出会いがありました。

当時事務職をしていたのですが、営業部に入ってきた男性がやたらと私が気になっているようだと同僚から教えてもらいました。

最初はそんな噂をそこまで信じていなかったのですが、確かに部署が違うのによく会うなと思うようになりました。

同僚を介して「連絡先を教えてやってくれないか?」と言われたときに、やっと本当に自分に好意があることを実感しました。

それからその人とは何度かデートする仲になりました。

私が「前の恋人をまだ引きずっていて」という話をしても、彼は嫌な顔一つせずにいつまでも待っていてくれると優しく言ってくれました。

私のことや私の気持ちをとても大事にしてくれるのが分かったし、本当に優しくてどんどんその人に惹かれていきました。

そうして私はデートを繰り返し、この人とお付き合いをするようになりました。

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コメント(2)
  • 怖い。
    嫉妬深い人だったのかな?

    2023/04/13/16:14
  • 彼女を怖がらせるな!

    2023/05/16/08:50

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