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呪い・祟り

イエティさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

「可哀想」と思っちゃいけない理由
長編 2021/11/08 08:43 13,533view
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数えてないけど、10匹以上はタヌキが通り過ぎて行った。
そのたび急ブレーキや急ハンドル、命の危険を感じる瞬間さえあった。

俺は路肩に停めて後方から来る車を待ち、その車の後ろを走るようにした。
前の車が曲がるなりコンビニに入るなりでいなくなるたびにまた後ろの車を待った。

で、ある時、前方の車があまりにも飛ばすもんで置いて行かれちゃったんだ。
その道路はイエローラインで道幅狭く、駐車できそうな場所はない山道。
後ろから来る車を待つこともできず・・・

まあ道幅は狭いけどしばらくまっすぐだし気を付けて走れば大丈夫だろう。

そこから10分くらい走ると、遠くからヘッドライトが見えた。

んで、ちょうどすれ違う時にタヌキは現れた。

対向車のせいで左右にはみ出せないこの絶対回避不可能なタイミングで飛び出してきた。

急ブレーキを踏んだが絶対に間に合わない。
タヌキが左から飛び出し、タイミング的にはおそらく右の前輪で・・・

と思ったが、衝撃は何もなし。
車高の低い車だが、運よく車の下を通ったのか?
そんな隙間はないはずなのだが。

その5分後も、また似たような状況でタヌキが現れ、またタイミング的には絶対轢いた。

が、何の衝撃もない。

その10分後も、また・・・

この奇妙な現象に、元上司に言われた「お前は手を下すなよ」を繰り返し思い出していた。

その後は狭い山道を抜け、車通りや街灯も増えたおかげかタヌキを見ることはなく実家に到着。

実家に着くやいなや、実家の外飼いの雑種犬、コロに死ぬほど吠えられた。
人懐っこくて番犬としての実力皆無なうえに、いつもはしっぽ振ってベロベロなめてくるくせに、ずっと吠え続けていた。

右肩の重さに運転中の怪奇現象、さらにコロに吠えられたとなりゃいよいよ確信に変わった。

タヌキが憑いてるんだろう。

とりあえず、両親に事情を説明してその日はすぐに寝た。
土曜日は一日車では出かけずに過ごした。夜は一歩も外に出なかった。
日曜日は日中に家に帰った。

平日中は肩が重い以外にこれといった異常はなかった。

そんで金曜日。
また悪夢が。

3/5
コメント(1)
  • 怖いというよりも、恐ろしい話

    2021/11/09/07:27

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