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呪い・祟り

イエティさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

「可哀想」と思っちゃいけない理由
長編 2021/11/08 08:43 13,489view
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ダメって言われているのに罠を勝手に設置するアホな農家。
なんでそいつらのせいでこんなに気に病まなきゃいけないんだと。

でも仕事は仕事と割り切らなければいけない。
それから週に1回くらいの頻度で現場に立ち会っていた。
何度叱っても繰り返すリピーターじじいにはさすがの温厚な上司もぶち切れてた。

んでその上司は夏に退職した。
40代後半だったから、定年にはまだまだなんだがいつのまにかいなくなってた。
おばちゃまたち曰く、精神を病んだとウワサが流れてた。

まさかタヌキのことかなと思ったけど、元々メンタル弱い人だったみたいだし何か別の事情があったんだろうなと思ってた。

仕事上ではそこまで関わりなかったけど、異動直後にはよくしてもらったし・・・と思って電話をかけた。

すると、「もしもし」も言わず、弱弱しい声で「タヌキの駆除にはもういくなよ、お前は手を下すなよ」とだけ言われて切られた。
上司は家で小型犬を飼ってて、もしかすると重ねてしまい病んでしまったのだろうか。

俺ももう行きたくねえなあ。

が、俺はまだ配属1年目のペーペーだし、新たに異動してきた怖そうな上司の命令には逆らえなかった。
秋になり、俺は独りでタヌキ駆除の現場に何度か赴いた。

罠に捕らえられたタヌキを水に沈め、殺す。
害獣といえど心が痛む。
これをメインのビジネスにしている駆除業者はすごいな。

新たな上司に状況の改善を求め、農協の協力の元、農家を集め説明会を3度行なったが状況は改善されないままだった。

タヌキ駆除に自ら手をかけるようになって2回目を終えた時のことだった。

なんとなく右肩が重い気がした。

疲れてるなあ、と思い、土日は実家に帰ってゆっくり休むことに。
金曜の夜、一度アパートに帰りお泊りグッズを持って実家へ。
18時ごろに家を出て、実家に着いたのは21時頃。

普段なら1時間で着くところを、3時間もかかってしまった。
なぜいつもの3倍もの時間を要したのか・・・結論から言うと、死ぬほどタヌキが飛び出してきたのだ。

実家もけっこうな田舎だから田んぼ道ばっかりで、普段からタヌキは多い。
実家に向かう時、ほぼ100%1匹は死んだタヌキを見るレベル。
前方を通りすぎていくのもほぼ100%の確率で見かけるな。

轢かれたタヌキも生きたタヌキも、多くてもいつもはそれぞれ2匹くらいなもんだが、その日は尋常ではなかった。

2/5
コメント(1)
  • 怖いというよりも、恐ろしい話

    2021/11/09/07:27

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