お墓の隣の家

彼女には新しい仕事が舞い込み、素敵な彼氏もできた。

しかし、数年経つと彼女は気づいた。
彼氏は何人も変わり、男友達も家に遊びに来たけど、みんな大怪我や病気やうつ病などになり、縁が薄くなってしまうことを。
また、仕事も何度も転職しなければならない事が多く、良いことが長続きしないのだ。

住んで3年目に
成人した子供に聞いてみた。

この家で本当に幽霊や祟りみたいなことが起きてないか
本当に浄化されているのか

子供はこう答えた

「何度か、この家に人の気配がしたし

ベランダに立つ男の霊は見たよ。
それが誰なのかわからないけど、お墓に入る人だと思うから気にしない」

人の気配というところで、彼女は子供がいない隙に呼んだ彼氏のことを思い出して
少し冷や汗をかいた。

「そうなんだ、悪霊とか、生き霊とか変なのがいないならいいんだけど、吉凶混合な事が多い気がしてね」

すると子供は笑顔で答えた。

「でも、ママはこの家に愛されてるから
ママが引っ越そうとするような事があると
家が邪魔してくるんだよ。
それと人間関係もそうじゃない？

私も今まで彼氏連れてきたことあるけど、みんな別れちゃって、今の彼氏は家に入れないことにしてる。別れたくないから。
でも、私はそこまでこの家に愛されてないから
お嫁にも行っちゃうし。
ママはこのまま住むか、早いうちに新居を近くに探すことになると思うよ。
ここに引っ越す時も、ママはこの家に引っ張られてきてたじゃない。
ここに住む運命だったんだよ」

まさか、離婚はここに呼ばれるために
起きたのだろうか。
それより、自分と同じで、いない隙に彼氏を連れ込んでいたのかとショックだったが
それは深追いせずに
彼女は困惑して聞いた。
「家に愛されてるってなに？どういうこと？」