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不思議体験

青鬼さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夜に通ると何かが付いてくる道
短編 2021/04/06 22:09 1,219view

同僚が10代の頃、T県に住んでいました。
住民が100名程しかいない小さな町で、過疎化が進み、子供の数は少なく、同僚を入れて5人しかいなかったのだそうです。

ある時、同僚は、学校の部活動で帰りが遅くなり、祖母から常々「夜は決して通ってはいけない道」を通ることにしました。
小さい頃から「あの道を夜に通るとこわぁいのが出てきてね、ずーっと付いてくるんだよ。昼はいいけど、夜はやめときな」と祖母に言われていた同僚。
しかし、「作り話だよ。街灯がなくて暗い道だから、夜に通ると怪我して危ないよって、ばあちゃんが脅してるんだよ」と、両親に言われた同僚は「近道だし通っても大丈夫だろう」と思ったのです。

あと2~3分も歩けば家に着くといった時、同僚は、後ろに何か付いてきているのに気づきました。
べちゃん、べちゃん、と、明らかに人間の足音ではないものが、同僚のすぐ後ろを歩いているのです。

祖母の「こわぁいのが出てきてね、ずーっと付いてくる」という話しを思い出して怖くなった同僚は、後ろにいる何かに追いつかれてはいけないと思い、全速力で家まで走りました。

息も絶え絶えに家に着き、玄関の中に飛び込み、扉の鍵をかけた同僚。
そのまま急いで祖母の部屋まで行き、「変な奴が付いてきた!」と祖母に言いました。
「ああ、あの道を通っちゃったの。ダメだって言ってたのに…。追いつかれなかったのなら、大丈夫。あれはね、家の中までは入ってこれないから。追いつかれたら連れて行かれるけど、そうじゃないなら大丈夫だよ」

「家の中に入ってきて食われるんじゃないか」と怯えて、夜通し起きていた同僚ですが、祖母の言葉通り、アレは家の中には入ってきませんでした。
しかし、翌朝起きて学校に行くために玄関を開けたところ、前日は雨が降っていないはずなのに、玄関の前の地面が濡れていたのだそうです。

同僚は、祖母の話しが本当なのだと思い、その後はどんなに急いでいようと、決してあの近道を通ることはなくなりました。

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コメント(2)
  • べとべとさん?

    2021/04/08/13:57
  • 最後の一文が、すごく「むかしばなし」感

    2021/05/02/00:59

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