奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

四川獅門さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

イリガミ
短編 2021/03/18 22:10 11,763view
2

西野さんが慌てて骨を拾い集め、箱に隠すように戻したのを横目で見た。

「撤去した物はほとんどが木製だったので、境内で焼却することになりました」

もちろんあの木箱も、である。

撤去作業が終わり、本格的に解体が始まった。
重機で解体をする前に、作業員が本殿の柱に鋸を入れる作業があった。
上田さんは西野さんにその作業を教えていた。

西野さんが上田さんの指示に従って、直径20cm程の細い柱に切込みを入れて豪快に蹴り、柱をへし折る。

「あぁぁぁ!!」

「どぎゃんしたと!?」

悲鳴を上げて西野さんが転倒した。

へし折れたのは、西野さんの足だった。
それは、頭蓋骨を踏み潰した右足だった。
彼は救急車で運ばれた。

「柱と云っても細いし、半分朽ちた木ですから、手でも簡単に折れたんです」

不可解な事故に作業員達は首を傾げた。
上田さんの脳裏にはあの木箱がよぎっていた。

上田さんは昼休憩を終え、現場へ戻ると、先輩が1人で解体した木材を焼却する作業をしていた。

先輩が木材を手に、フラフラと炎へ向かって歩いていく。

様子がおかしい。
顔はにやけ、ヨダレを垂らしている。

先輩は持っていた木材ごと炎の中へ入っていった。

「あっ!なんばしよると!!」

上田さんが慌てて先輩を引っ張ると、彼は正気を取り戻した。

「え!?あづい!あづい!!」

火がニッカポッカに燃え移り、先輩は足に重度の火傷を負った。
やはり右足の状態が悪かった。

彼もまた、救急車で運ばれた。

度重なる不可解な事故を見て、親方は作業の中止を決断した。

「あくしゃうつ事ばっかりたい(困ってしまうことばかりだ)」

上田さんはそう親方がぼやくのを聞いた。

2/4
コメント(2)
  • これからの時代、守る人のいない神社も増えるしこういう話も近場にできそう

    2021/03/19/01:34
  • 動物虐待にもほどがある…
    文章がわかりやすい

    2021/05/26/11:24

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。