奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

四川獅門さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

イリガミ
短編 2021/03/18 22:10 11,905view
2

上田さんは先輩と2人で軽トラに乗り、帰路につく途中、こんな話を聞いた。

「お前、犬神って知っとると?」

今日の現場は、業界では曰く付きの犬神を祀る神社だった。
過去に他の業者も入ったが、事故が多発し、長らく放置されていたらしい。
親方は報酬に目がくらみ、この現場を引き受けてしまった、という事だった。

翌日、怪我をした2人を除き、作業員達は「犬神落とし」のお祓いを受けた。
親方はその神社に、現場のお祓いも依頼した。

二、【犬神】

『 マジナヒ、こは物実を構えて、それにまじこり肖しめむと、のろひてする術、但しノロヒは凶からしむ方にのみするを此は吉凶ともにするなり』
伴信友 著 「方術考説」より

犬神とは、古来から西日本に広く分布する信仰の対象である。
その信仰の形跡は、日本の最南端の沖縄でも確認されている。

西日本各地で、近年においても根強い信仰が見られるそうだ。

特に狐のいない四国においては、犬神の本場であるとする見方もある。

一部地域では「イヌガミ」が訛り、

【イリガミ】

とも呼ぶ。

信奉者には富をもたらすが、敵対者には恐ろしい災いをもたらすとも云われる蟲術(こじゅつ)の一種である。

犬神は立派な呪詛であり、平安時代には既に犬神を用いた呪術に禁止令が出され、非常に恐れられていた。

犬神は神と言えど、人が儀式で創り出すモノである。

その儀式がまた、業が深い。

犬の体を地面に埋め、頭だけを地上に晒す。
犬の顔の前には、餌を置く。
これを犬が餓死する寸前まで続ける。

そして、飢餓が頂点に達した犬の首を切り落とす。
この時犬は、首だけでも餌に食らいつくそうだ。

3/4
コメント(2)
  • これからの時代、守る人のいない神社も増えるしこういう話も近場にできそう

    2021/03/19/01:34
  • 動物虐待にもほどがある…
    文章がわかりやすい

    2021/05/26/11:24

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。