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kanaさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

【short_53】黒い球体 ※グロ注意
短編 2024/02/15 21:04 884view
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子供のころに住んでいた、ど田舎での記憶。
ボクと友達の二人は、草ぼうぼうの雑木林でバッタなんかを追いかけて遊んでいた。
ふと見ると、林の奥の方に真っ黒な球体があるのを見つけた。

球体と言うのは語弊があるかもしれない。直径1メートルくらいで、黒すぎて光をまったく反射せず、そのせいで球体であるにらもかかわらず、そこに穴が空いているように見えた。

友達はそれを不思議がり、長い枝を持ってきてその球体を突いてみた。
枝は何の抵抗もなく球体の中に入って行く。まさしく穴だ。

今度は石を投げる。やはり球体に吸い込まれ、何の音もしない。つまり、石がどこかに

ぶつかって落ちた手ごたえがないのだ。

怖いもの知らずの友達は、今度は自分の腕を突っ込んだ。腕の先が真っ暗な空間に入り、まったく見えなくなる。なにも掴めない。なにもない。ただ冷たいという。

「いったいどうなってんだぁ?」友達は大胆にも今度は球体の中に顔を突っ込んだ。

次の瞬間、ガシャンと音がして、まるで目の瞬きのようにして球体が一瞬閉じた。
すぐに開いてまた球体に戻ったが、そこで友達はぶっ倒れた。
友達の顔は無くなっており、血しぶきが上がっていた。

脳が見える。目や鼻のあった場所に穴だけが見える。

奥歯と、舌の根元だけが見える。・・・つまり、顔の断面が見えている。

ボクは腰を抜かしてへたり込んでその様子を見ていた。

まだ動いて手足をばたつかせている友達。だが、どう見ても助けることはもう無理だろう。そして、こんな姿を親御さんが見たらさぞショックで悲しむだろう。
ボクは一瞬の間にいろいろな考えを巡らせ、ある答えにたどり着いた。

「今、楽にしてやるからな」ボクは友達を黒い球体の中に投げ入れた。

しばらくすると球体は小さくなって消えていった。
それ以来、球体は現れなかった。・・・友達は行方不明のままとなった。
この事は今日まで誰にも言ってない。

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