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心霊

眠り昆布さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

だれ?
長編 2023/02/20 12:01 1,905view

これは私が小学4年生の時のお話です。

当時私が住んでいた家は平屋の借家でした。部屋数もそんなに多くはありませんでしたが、私は1人部屋がありました。普段は母と一緒に寝ることが多かったのですが、その日は自分の部屋で1人で寝ていました。

その日の夜中、大雨と雷で外は大荒れの天気でした。私は雷が大の苦手。そんなタイミングで1人で広い部屋で寝ており、とても震えていました。そういう時って無駄に変なことばかり考えてしまいます。

お化けが出るんじゃないか、とか、誰かがドアをノックするんじゃないか、等など。とにかく悪いことばかり考えていると、部屋のドアが勝手に開きました。ギィーと音を立てて。私は一気に怖くなり、布団に潜り込み、僅かにできた隙間からドアの方をそっと見てみました。少しずつ人影が見えてきたのです。もうこれは本当に幽霊が出たんだ!とキュッと目を閉じました。

「大丈夫?」

誰かが私に話しかけました。その声は明らかに聞き覚えのある声でした。ばっと布団をとり、ドアの方を見ると心配そうな顔をした母が立っておりました。どうやら母も雷と雨の音で目が覚めたそうです。そして、一人で寝ている私のことを心配してくれて、部屋まで様子を見に来てくれました。

私は少し強がった素振りで縦に首を振りましたが母は

「一緒に寝る?」

と提案してきました。再度首を縦に下ろし、隣の母の部屋で寝ることにしました。母の部屋は和室でした。すりガラスの引戸があります。母が私の様子を見るために、引戸は開いたままでした。母は私にある事を教えてくれました。

「雷はピカっと光って音が鳴るまでの時間が長ければ、遠くに行ったって分かるんだよ」

そう言いました。母の部屋のカーテンを少し開けて、実際に見てみることにしました。雷が光り、音が鳴るまで…。結構時間が空いていました。母は笑いながら

「雷は遠くへ行っているから、明日は晴れるといいね」

その言葉に安堵し、私は寝ることにしました。母はまだ外を眺めています。布団の真横に、すりガラスの引き戸があります。入った時に閉めるのを忘れていました。わたしはその引戸の取手に手を伸ばしました。

パッと何気なく顔をあげると、斜め左から何かが開くのが見えました。それはわたしの部屋の扉でした。きっとわたしの部屋の扉も閉め忘れたんだ。そして風で勝手に空いてるんだと思いました。が、それは間違いでした。扉が開くにつれて明らかに白っぽい影が出てきているんです。もちろん私の部屋には私以外誰もいませんでした。

でもそれは本当にそうだったのか、今でも分かりません。私は何故かその白い影に恐怖よりも興味を抱いていました。じっと見つめていると、その白い影は私の目の前に現れました。

暗闇の中、雷がピカっと光りました。その時に白い影の正体に気づきました。着物を着たおかっぱ頭の女の子でした。その子は私と同じくらいの背丈。私の顔をじっと見つめていました。

私はそれでも恐怖はなく、ただただその子としばらくの間見つめあっていました。そしてまた雷が光ったタイミングでニコッと笑って廊下を歩いて去ってしまいました。その瞬間急に怖くなりわぁ!と声を上げ、尻もちを付いてしまいました。

その声に驚いた母が駆けつけて、私の青ざめた顔を見ながら

「何があったの?!」

と聞いてきました。私は

「そこに…私の部屋から女の子が出てきて…あっちへ…」

女の子が向かった先に指さしながら震える声で言いました。

母は戸惑いが隠せない様子で、でも私を落ち着かせるために、きっと雷の光がそういう風に見えただけだからと言い聞かせました。それからあとのことは正直あまり覚えていません。きっと母が寝かしつけてくれたんだと思います。

翌日目を覚まし、夜中の出来事を思い出しました。一瞬、あれは夢だったのか?と疑いました。が、私は母の部屋で寝ていました。わたしの部屋の扉も開きっぱなしでした。これはきっと夢じゃない。母に昨晩のことを聞いてみました。

「確かに昨日雷の光が人に見えたって怯えていたよ」

そう言いました。

でもあれは絶対雷の光なんかじゃない。表情を変え、顔まではっきりと覚えていたのです。この話を兄弟にしても信じて貰えないだろうとダメ元で朝ごはんを食べている時に話しました。兄は二人います。2人とも一瞬キョトンとした顔をしました。その後2番目の兄がこう言いました。

「夜中にトイレに行きたくて、部屋を出たら、雷が光ったタイミングで白い影みたいなのがこっちに向かってくるのが見えた。その影は台所へ入っていったよ」

私は絶句しました。なぜなら、女の子が向かった廊下の先は台所と兄の部屋があるからです。

兄も一瞬なにかの見間違いだろうと思い、長男に話したそうです。当然長男からはそんなの見間違えてるだけだとバカにされていました。が、私が同じ時間帯に同じような人影を見ているのを知り、あれはきっと本当に私の家にいた誰かだったんだと気付きました。

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