私を救ってくれた人
投稿者:ぴ (414)
余計な出費はかかったけど、母はずっと私を探していたみたいで、ぼろぼろ泣いていました。
そしてあの酒浸りだった父までも、母の隣で涙ぐんでいました。
私はそれを見て、久しぶりに親子の大切さを身に染みて感じました。
その後、それまで酒浸りだった父は自分の行動を反省したのか、新しい職に就きました。
こうして私の反抗期もあっさり終わって、また家族は元通りになったのです。
すべてあの公園で出会ったホームレスのおじさんのおかげと思っています。
あの後、何度もあの公園に行っておじさんを探したのですが、一度も会うことができませんでした。
そしていろいろとあの公園で会った人にそれらしき人の情報を探ってみたのですが、それらしき情報は見当たりませんでした。
それどころかホームレスは数年見ていないと言われてしまいました。
ただ6~7年前に、この公園では人知れず亡くなったホームレスがいるという話は聞きました。
その日は雪が降るほど冷える日で、朝ホームレスが冷たくなって動かないのを発見した人がいるらしいです。
どうやら凍えて亡くなったそうでした。
私は少しだけ思うのです。
もしかしたら私が話したホームレスのおじさんは私にしか見えなかった可能性があるんじゃないかと。
後で両親に聞いたのですが、ベンチで寝ようとした日はとても寒くて、朝方には氷が張るほどだったそうです。
外で寝泊まりできる気温じゃなかったと言っていました。
つまりあのまま寝ていたら、私だって凍死していた可能性があります。
それからタクシーに乗ったときに、手を振ってくれたホームレスのおじさんの話をしたら「あそこに誰かいたかぁ?お嬢ちゃんしか見なかったよ。」と不思議なことを言われたのです。
そのときは変なことをいう人だとしか思わなかったけど、もしかしたら本当にあの場にいたのは私だけだったかもしれません。
相手が幽霊だったとしても、私はあのホームレスのおじさんに救われました。
もしあのまま一人で毛布に包まって眠っていたら、私は知らない内に命を落としていた可能性があります。
今この世にいられるのも、あのとき声をかけてくれたホームレスのおじさんのおかげです。
だから、この生を無駄にしたくはないなと今は思っています。
危ない行動でしたが、怖いと言うよりも何だかジーンとしました。
これは短編ドラマにしてもいいくらいジーンとするストーリーです。
ここ最近読んだもののなかで、最高でした。
いい話でした。