会社にかかってくる無言電話

そして「助けてください」と私に助けを求めるのです。

その後その電話が一瞬静かになったかと思うと、電話の向こうで口論のようなものが聞こえました。

そして小さな声で「やめてやめて」と聞こえます。

その後、「いや・・・死ぬからやめて・・・」て掠れた声で言ったのです。

そのまま電話は切れてしまいました。

あまりのことに私はパニックになります。

そしたら電話を終えた職場の人が「どうしたの？」と私を宥めてくれました。

私が一語一句間違いなくさっきのやり取りを伝えたのです。

話し終える頃に職場の人を見ると、今まで見たことがないような顔色になっていたのです。

「秋月って言ったの？」とその人は聞きました。

確かにそう名乗ったので、はいと答えたのです。

さっきかかってきた電話番号を調べたら、秋月さんの携帯番号からかかってきていたことが判明しました。

その後聞いた話に私は戦慄が走ることになるのでした。

実は私がこの職場に来る前に、私の席には「秋月晴香さん（仮名）」って人が座っており、そこで働いていたそうです。

すごく仕事ができる人で、事務仕事はほぼ任せていたのだとか。

だけど、その人は突然退職届けを出して仕事を辞めたかと思ったら、その数か月後に自宅で自殺を図ったと聞きました。

みんな信じられなかったけど、自殺する前に遺書が置いてあったということで、信じる他なかったそうです。

私の話した無言電話が秋月さんだったという話は一夜にして会社中に広がりました。

そして秋月さんには生前独身だったけど、一緒に暮らしていた恋人がいたと聞きます。

そしてその人がどうやらDVをしていたという噂があったそうです。

たまに秋月さんは顔や体に大小の傷やアザを作っていました。

そしてそれを隠していたと教えてもらいました。

今でも秋月さんの死は自殺で済まされているみたいなのですが、秋月さんは本当に自殺なのか私には疑問です。

あの人はずっと私に助けを求めていたのです。

そして最後の電話は誰かと揉みあっているような様子でした。

もしかしたら秋月さんはDV彼氏に殺されたのではないかと密かに思っています。

あれから無言電話は減りましたが、今も度々かかってくることがあります。

今は怖いよりも悲しくて、できるものなら彼女の死因をもう一度調べ直してあげてほしいと思っています。