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ヒトコワ

件の首さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

新居にて
長編 2022/11/09 21:43 8,042view
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 目が覚めたのは、午前0時を回った頃だった。
 仕事をしている時であれば、寝る準備をするぐらいの時間だ。
 少しおかしさを感じつつ、私はトイレに行く。
 田舎だから汲み取りを覚悟していたが、浄化槽ながら水洗トイレがきちんと完備されていた。
 どうも昭和の田舎のイメージしか持っていないのだろう。
 洋式トイレの蓋を開けた。
 と。
 中に黒いものが見えた。
「え」
 一旦蓋を閉める。
 それから、ゆっくりと蓋を開いた。
 ずるり、と、それが動いた。

 固まって見えたものから、一本がそう、にょろりと伸びた。
「蛇!?」
 声に出していた。
 洋式便器の中で、蛇が蠢いていた。
 慌てて水を流す。
 水流に少し身もだえしながら、一気に蛇は流れ去った。

「はぁ、はぁ……」
 背中に嫌な汗が出る。
 田舎に越そうというのだ、蛇を見て逃げ惑う程でもないが、そこまで得意でもない。この距離で見たいものではない。
 配管のどこかに破れ目でもあって、入り込んでいるのだろう。
 とりあえず追い払ったが、座っている時に噛みつかれでもしたらかなわない。
 明日、不動産屋に抗議して、早速修理を依頼しよう。

 でも、とりあえず何かで栓をするなり、殺虫剤を流すなり、上がって来られないようにしなければ。
 そう思いつつ、廊下に出た。
 ずる、り。
 踏み出した足が滑った。
 スリッパ越しに弾力のある感触。
 そして、じたばたと動き始めた。
 トイレの外の床にも、蛇がいた。
 踏まれて痛かったのか、にょろにょろ暴れている。
「う、うわ」
 気が付けば。
 廊下の端から端まで、あちこちに黒い影があった。
 震える手で、手探りで灯りを付ける。
「わああっ!」
 無数の蛇が、床を這い回っていた。

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コメント(2)
  • 気持ち悪っ
    ためはち

    2022/11/10/07:20
  • 年取ってからの田舎暮らしは止めたほうが良いです。

    2022/11/10/22:12

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