公園に行ったら

翌日からＳは学校に来なくなった。
そして数日後、Ｓが学校を辞めたことが判明した。
理由は不明。まあ専門学校にはよくあることなので、問題にはならなかった。
Ａにしても、例の話とＳの退学が関係あるのかもわからなかったし、
それを追求する気もおこらなかった。
そんなことより資格取得の勉強のほうが大変だったし。

ところが更に数日後、その専門学校の教室の有志が運営していた
ネット上の掲示板（〇〇学校××クラスの掲示板）にＳが投稿をしてきた。
文章としては細かいところが破城していて、支離滅裂だったが、
どうやら言いたいことは
「世の中の人はもっと先祖を大事にして、先祖の言葉に　耳を傾けなければならない」
「そう思う人は私の話を聞いてほしい」
「連絡先は×××（メールアドレス）」
というような内容のようだった。

内容がアレだし、Ｓはすでに退学しているのだし、ということからか、
その文章は数日後には削除された。
だが、Ｓのその掲示板へのアクセス権までは即削除になっていなかったらしい。
数日後、またしてもＳの書き込みが行われていた。今度は
「あなたの悩みや苦しみは原因があるのです」
「私と一緒に解決方法を探しましょう」
といった感じの内容だった。
ここにいたって、Ｓの掲示板への参加はブロックされたようで、
以後の書き込みはなくなった。

それから数年後、Ａは無事に資格を取得し、専門学校も卒業した。
そしてさらに２～３年後、ＴＶのワイドショーで久々にＢの話題を目にした。
どうやら一般人の資産家に
「あなたには悪霊が付いている。除霊が必要です。」
というような話を持ち掛け、除霊代金や相談料として多額の金銭を受け取っていたようで、

詐欺の容疑で逮捕されたというニュースだった。
Ｂは逮捕されたらしいが起訴されたかまでは判らない。
つまりBが詐欺師などの悪者なのか、本物の霊能力者なのかは判らない。
そもそもＳがどの程度ホントにＢと関わっていたのかもわからない。
Ａの個人的な見解では、
「そもそも急に公園に行きたくなって行ったらＢがいた、
　という話が信じがたい。だがマンに一つでもそれが事実なら、
　Ｂに心酔してしまうのが人情かもね。
　合格できる保証が無い資格試験の合格を目指して
　勉強しつづけている状態って、精神的に結構不安な状況だし、
　なんらかのものを信じたいとかすがりたいとは思いやすくなる
　かもしれないしねえ。
　つけこまれやすいのかもね。」
とは思っているそうだ。