ウォーキングで聞こえてきたもの

もう何年も前の話になりますが、その頃の私は痩せようとするために、毎日ウォーキングをやっていました。

田舎道で明かりも少なく、周りは海や山々で囲まれている場所です。

その時の時間は夏場初めの、夜10時を回ろうとする時間帯でした。

私は家をひとりで出てから、10キロメートルはあるだろうと思われる山道を、やや急ぎ足で鼻歌を歌いながら淡々と上っていました。

道の始めには自動車用道路もあり、車は何台も通っている場所です。

そこから山道へ上るための1本の道があって、その道からグルっと1周して、家へ帰る予定でした。

民家は数える程しかなく、車も1時間に1台通るか通らないかの道です。

道の途中で特にうっそうとした雑木林があったのです。他に回り道はなく、仕方ないなって感じで、私はその道を通り過ぎようとしていた所でした。

私はそこで聴いてしまったのです。

疲れていただけなのかもしれませんが、「ぅあー！ぅあー！」という、うめき声のような低い声で、数回「ぅあー！ぅあー！」っと…。

私は冷や汗が出ていました。早くその道を抜けたいと思って、急ごうとした時、後から周りで工事もやっていないのに、ショベルカーやトラックが通る工事音もしました。

「ゴー…ゴー…ゴーん」っと。本当に出てくるんではないか？っていう恐怖を感じたのを覚えています。その雑木林の道が長く感じられました。

私はそれ以来、ウォーキングするのをやめました。あの頃の恐怖心はもう消えてしまいましたが、後にも先にもない、初めての心霊体験をした日の出来事です。