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都市伝説

足が太いさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

見たことがある「人面犬の顔」
長編 2022/04/19 23:49 3,768view
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しかし、翌日の夕方頃、他の同級生から「友達Aが事故で亡くなった」という知らせを受け取り、愕然としました。
(もっとちゃんと気を付けるように友達Aに言っておけばよかった…)と、後悔しながらお通夜に参加しました。

そしてお通夜からの帰り道で、またあのヒタヒタヒタ…という足音が聞こえてきたのです。
今度は振り返ることなく、一目散に家まで走って帰りましたが、足音がずっと追いかけてきます。
(このままでは追いつかれるか、家の中にまで入って来られるかもしれない)と思った私は、鞄の中に入っていたお清めの塩を取り出し、後ろ手に投げました。
すると、後ろから「ギャンッ!」という甲高い犬の鳴き声が聞こえ、その後は足音はついて来なくなったのです。

後ろの様子が気になるものの、振り向いてまた友達Aの顔をした犬がいたらと思うと怖くて、振り向かないように耐えながら、必死に家までたどり着きました。

やっとの思いで家の中に入り、床に座り込んで震えていると、カリカリ、カリカリという玄関の扉を外から爪で引っかいているような音が聞こえてきたのです。

絶対に玄関を開けるものかと強い思いながらそちらを睨むと、カリカリ、カリカリという引っかき音の合間に、「○○ちゃ~ん、開けて~、あーそーぼー」という子供の声がしました。
その子供の声は、小学生の時の友達Aの声にそっくりで、(やっぱり友達Aの顔をした人面犬が家まで追いかけてきたんだ!)と、恐怖で震えが止まりませんでした。
友達Aは何度も何度も私を呼びますが、玄関を開ければどんな恐ろしいことが待っているのかと思い、私は絶対に開けることはしなかったのです。

何時間耐えていたでしょうか、気づけばすっかり朝になっていました。
いつからか玄関外からは引っかき音も友達Aの私を呼ぶ声も聞こえなくなっていたのです。
(さすがにもういなくなったんじゃないか)と思い、勇気を出してドアスコープから外を覗くと、そこには誰もいません。

ホッとして、内心で(夢とか、あるいはナイーブになり過ぎて幻聴だったんじゃないか)なんて思いながら、その日も仕事だったことから急いで出かけるしてから玄関の外に出ました。
しかし、玄関に鍵をかけて、不意に玄関扉の下部分を見て、ああ、あれは夢でも幻聴でもなかったんだと悟りました。
鉄製の外玄関扉の下部分には、どれだけ鋭い爪で引っかけばこんな傷が入るんだろうと思うくらい、深い爪痕が残っていたのです。

あの夜から、友達Aの顔をした人面犬は見かけていません。
でも、もしかしたらまた、誰かの顔をした人面犬に出会ってしまうんではないかと不安に感じています。

もしも、知っている人の顔をした人面犬だったら…。
もしも、その人面犬に追いつかれてしまったら…、私は今度こそどうなってしまうのでしょうか。

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