捨てても戻って来る黒髪

引越してきたばかりの家のドアノブに、ある日、白いビニール袋がかかっていました。
何だろう、誰か他の部屋と間違えたのかなと思い、何気なくビニールの中を覗くと、人間の髪の毛らしきものが大量に入っていたのです。
まるで今さっきハサミで切ったばかりのような、艶やかで長さのある黒髪でした。

驚いて、気味が悪くて、ビニール袋ごとマンション1階にある共同ゴミ箱に急いで捨てに行きました。

「なんだったんだろう、別の部屋の住人が、おかしな人にストーカーされているのかな」と、思い、震えながらその日は眠りました。
翌日起きてリビングへ行くと、テーブルの上に昨日捨てたはずのビニール袋が置いてあったのです。

そっと中を見ると、あの黒い髪が入ったまま。
「この部屋の鍵は私以外誰も持っていないはずなのに…」

怖くなり、ビニール袋を今度は別のゴミ袋に入れて、中身が分からないようにしてから、今度は会社のゴミ箱に捨てました。

しかし、仕事が終わって家に帰ってくると、またドアノブのところに見覚えのあるあのビニール袋がかかっていたのです。
とうとうこらえきれなくなり、その部屋から引越すことにしました。

その部屋は元々事故物件ということを聞いていたので、ある程度のことは覚悟していたのですが、さすがに耐えられませんでした。
皆さんも、事故物件に住む際には十分気を付けてください。