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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

人を呪わば穴二つ
長編 2022/03/12 18:52 7,628view
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私がどれだけ止めても、A子に私の言葉は届きませんでした。
壊れたように笑い続けるだけでした。

その日の衝撃が強過ぎて、しばらくA子に会いに行けませんでした。
以前のA子とは様子が違っていて、別人のようで怖かったのです。

A子の家に行こうかやめておこうか迷って、結局行けないまま1ヶ月が経った日の放課後、学校の裏門のところにA子がいました。
私は急いで駆けつけて、「会いに行けなくてごめん!」と謝ると、A子は怒っておらず、それどころかニコニコとすごく機嫌が良さそうにしています。

A子が不登校になる前によく見ていた笑顔で、(学校に来れるくらい心が回復したのかな)と、ホッとしていたのですが…。
「やっと蠱毒が完成したんだ。明日から楽しみ。あいつらがどうなったか、もし分かったら教えてね」と、A子は恐ろしいことを笑顔で言って、そのままフラフラと立ち去っていってしまいました。

A子の恐ろしい発言に震えながら家に帰り、憂鬱な気分で学校に登校しました。
授業中もずっとA子のこと、蠱毒のことを考えて過ごしていると、突然どこかから叫び声が聞こえました。

先生が廊下に出て様子を見に行ったかと思うと、慌てて教室に戻ってきて、「誰も教室から出ないように」と言い残し、バタバタと走って行ってしまったのです。
先生の様子が気になり、ある男子生徒が先生の言いつけを破って廊下に出てしまいました。

他の子も廊下に面した窓を開けて様子を伺うと、どうやら隣のクラスで何かあったようなのです。
しばらくして、教室を出た男子生徒が戻ってきて、何が起きたのか教えてくれました。

男子「なぁ、隣のクラス、何人も倒れてるぞ」
他生徒「倒れてるって、病気か何かで?」
男子「さぁ?とにかく5、6人くらい床に倒れてて、そいつら皆、首を抑えて唸ってた」

ざわざわしていると先生が戻ってきて騒いでいる生徒に落ち着くように言い聞かせ、無理やり授業が再開されました。
でも、隣のクラスからは「キャー」とか「苦しい、助けて」といった声が漏れ聞こえてきますし、そのうち救急車が学校に来たりして、落ち着けません。
結局その日は授業にならないということやその日最後の授業だったこともあり、HRなしですぐ帰宅させられました。

そして翌日、どこからか事情を聞いたらしいクラスメイトが、「昨日倒れた生徒達の首に長い紐か何かで絞められたアザがついてた」「ムカデに体中刺されたような怪我をしている生徒もいた」といったことを話していました。

倒れた生徒は皆、授業中いきなり苦しみだしたようで、病院で検査をしたら、いつの間についたのか体中に変なアザや怪我があったそうです。

私は「A子の蠱毒が関係しているんだ」と半ば確信して、それとなく倒れた生徒の名前を聞いて、その日の放課後にすぐA子の家に行きました。
そしてA子に倒れた生徒の名前を伝えると、A子は「ああ、ちゃんと呪いが利いたんだ。良かった」と、嬉しそうに笑いました。
その人達(倒れた生徒達)がA子をいじめていて、A子はその人達に蠱毒を作って呪いをかけたのです。
蠱毒は効果を発揮して、A子をいじめていた人達を恐ろしい目に遭わせました。

これで気が済んだだろうと思ったのですが、A子はまだまだいじめてきた人達を許せないようで、「もっともっと強力な呪いを作って、あいつらをもっともっと不幸にさせてやる」と、恐ろしい笑顔で笑っていました。
その後、私がA子の家に行くことはなくなりました。
最後に見たA子の笑顔が、本当に怖かったからです。

A子をいじめた人達は倒れてから数日して登校してきましたが、やつれた顔をしています。
そのうち精神を病んで不登校になったり、体が思うように動かせず療養の為に学校を休むようになったりして、いつしかA子をいじめた人達全員、学校に来なくなりました。

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