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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

同窓会に混ざりこんだモノ
長編 2022/03/10 19:09 4,058view
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正直、その子が同窓会なんかに参加するような子とは思わなかったです。
仲良かったクラスメイトですが、一人二人地味で空気な生徒はいました。
その中の一人がこの未希子です。

まさかこの同窓会に参加しているなんて今の今まで思わなかったし、今の今まで気づきませんでした。
さらに未希子と詩織には、ぜんぜん接点がありませんでした。

当時少なくても私は未希子と詩織が話しているところを見たことがなかったし、仲がいい様子も微塵も見せなかったのです。
だから、どうして未希子が詩織の近況を知っていたのか不思議だったし、その話を自分からし始めた未希子に違和感がありました。
同級生が「最近、会ったの?」とか「今何してるの?」とか、勢いよく食いつきました。

未希子の話から詩織が今家にいて、近くのレストランでバイトしている話を聞きました。
確か詩織は看護学校を目指していた記憶があります。だから今レストランで働いていることは意外でした。

それにまだ独身で彼氏もいないという話を聞いて、とてもびっくりしました。
真っ先に結婚するタイプだと思っていたので、彼氏すらいないことに驚きました。
その話に、一部の男性陣が食いついて「連絡先知らない?」としきりに唯一接点があるらしい未希子に連絡先を聞いていました。

このような感じで、詩織の話を中心に同窓会は盛り上がりました。
おいしい食事を食べて懐かしい人に会えて、私は満喫した気分でした。主賓であるクラスの担任が来るまでは。

担任が遅れてやってきたときに、この日一番場が盛り上がりました。
「先生~」とわっと盛り上がって、先生は「遅くなってすまんすまん」と謝りながらやってきました。
以前より少しだけくたびれた様子に見えたけど、皺は濃くなったものの、変わらない先生の笑顔にほっとしました。
一人一人今何をしているのかと尋ねる先生に、なんだか大きな愛を感じました。

そして先生はおもむろに沸々と生きていることに大切さを私たちに語りかけました。

突然そんな話をする先生にちょっとポカーンとした雰囲気が漂いました。
「急にどうしたの先生」とはしゃぐメンバーに、先生は「え?」という顔。
「お前たち忘れたのか?」と愕然とした顔で聞かれて、私たちは不思議な顔をしたのです。

「今日は未希子の命日」と言われ、私は最初しばらく理解ができませんでした。
おそらく一緒に参加していたクラスメイトも同じように理解できなかったと思います。

暫しの間の沈黙の後、「いや、未希子いるし」と誰かがいい、みんなでそちらを振り向きました。
さきほどまで未希子がいた席です。しかし、そこはもぬけの殻で誰も座っていませんでした。
席にコップが置かれていましたが、お水は一滴も減っておらず、ただ置かれているような形でした。

それからじわじわと私の記憶が蘇りました。確か中学校の頃に学校帰りに不慮の事故で亡くなった生徒がいたはずです。
それが未希子だとゆっくり思い出していきました。
思い出したらぞくぞくと背筋が寒くなりました。

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