金曜日の恐怖
投稿者:つくよみ (4)
それから、1ヶ月後のこと。
毎度のように仕事から帰り、いつものようにシャワーを浴び、ご飯の支度をしているとその時が来ました。
(ピンポーン)
インターホンが鳴りました。
さすがに金曜日でしたがしばらくは来なかったので、
(「まさかあの人じゃないよな・・・。」)
と思いながら恐る恐る玄関モニターを見てみると、
「!!!!!!」
・・・私は一瞬息が止まりました。凍りつきました。
今まで帽子を深く被っていた例の男が鬼のような形相でモニター画面いっぱいに写っていました。その表情は目を見開き、睨みつけるようなとても恐ろしい目つきでこちらを見ています。私は驚いてその場で声から出ませんでした。
さすがに怖かったので応答することができませんでしたが、よく耳を澄ましてみると何か言っているような気がします。私は音を立てないように慎重に玄関の前まで行くと、玄関のドアに耳を当てて微かに聞こえる声を払いました。
「・・・お前がそこにいるのはわかっている・・・。さっさと出てこい・・・殺されてぇのか・・・。」
そんなことをまるで耳元で囁かれているかのように言われました。私は恐怖で足が震え出しました。言っていることの意図は分かりませんでしたが、もしかしたら新聞を断ったからなのかもしれない、と私は考えました。
でも、そんなことでここまで怖い思いをするものだろうか、とも思いこれは異常なことだと冷静に判断していました。
はっきり言葉が聞き取れてから5分くらいするとなんとなく気配を感じなくなりました。
(「良かった、帰ったのか・・・」)
私は安堵の気持ちでいっぱいになり玄関の覗き穴から外を確認しようとした、その時でした。
「ドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!」
勢いよくドアが強く叩かれ、私はとうとう腰が抜けました。
その音は部屋中に響き渡り、私を威圧しているようでした。
音は10秒くらいで鳴り止んだあと、また静かになりました。
私はショックのあまり、その後の記憶があまりありません。
朝になり、私はふと起きると玄関の前にいました。
どうやらあの後その場で寝てしまっていたようでした。
あの出来事は何だったんだろう・・・。
私は昨日の出来事が本当にあったのかさえ思い出せないくらいに幻に感じました。
玄関の覗き穴を覗くと誰もいません。
なんとなくドアを開けてみても周囲には誰もおらず、いつも通りの静かな雰囲気でした。
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