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ヒトコワ

つくよみさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

金曜日の恐怖
長編 2021/12/28 22:59 6,262view
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これは、私が一人暮らしを始めるために実家から隣町に引っ越し、実際に住み始めたアパートで起こった出来事の話です。

専門学校を卒業し、社会人になる前の3月に私は実家を出て一人暮らしを始めました。
実家にはお世話になったのと一人暮らしに憧れがあったので、感謝の気持ちとワクワクした気持ちが入り混ざっていました。

引っ越しは順調に終わり、実家から隣町であり最寄りの電車から一駅という近さで一人暮らしはスタートしました。
駅からは徒歩20分と少し歩くことにはなりますが、当時はその距離をあまり気にせず、新しい環境に心が躍っていました。

私が住み始めたアパートは2階建ての木造で築5年と新しい物件でした。間取りはワンルームで基本的な家電が無料で付いているので、新しく用意することもなく引っ越しを含めた初期費用も少なく済みました。

私は2階の角部屋で1番奥の部屋です。周辺は大通りから外れたところにあり、車の通りが少ないのでかなり静閑な地域でした。また、同じアパートの他の部屋から音が聞こえることもなく、ほとんど部屋にいても外から音が聞こえないくらい静かな所でした。

ただ、一つだけ気になるところがあるとしたら木造のアパートだからなのか、2階に上がる時に使う階段を歩く音だけが部屋にいると聞こえてくるのでした。

私以外の2階は他に2部屋ありましたが、そのいずれかの部屋の住人が帰ってくる時に階段の音でそれが分かりました。

しかし、そんな音もここに住むには付き物だろうと思い、あまり気にせず生活していくことにしました。

それから引っ越してから1ヶ月くらいだった日のことです。
就職先の仕事も少しずつ慣れ、一人暮らしの生活も一通りこなせるようになったある日の金曜日。
いつも通り19時くらいに職場から家に着き、シャワーを浴びてからご飯の支度をしている時でした。

(ピンポーン)

インターホンが鳴りました。
私は慌てて玄関のモニターに目をやると、帽子を深めに被った男が1人立っていました。

「はい」

そう私は応答すると、

「お忙しいところすみません。新聞は現在契約していますか?」

と顔が帽子であまり見えない男は暗めの声でそう言いました。

「契約してないですけど、新聞は読まないので結構です。」

私がそう答えると、その男は画面から消えていきました。
そうか、今まで実家だったからか気にしてなかったけど一人暮らしだとこういうのも自分が対応しないといけないよな、と思いながらご飯の支度に戻りました。

それからまた1週間が経ちました。
いつものように帰宅してご飯の支度をしていると、

(ピンポーン)

インターホンが鳴りました。
なんだろう、と私は思いながら玄関のモニターを見ると、
先週も家に来た男がそこに立っていました。

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