おじさんがくれた数珠の謎…

学生時代、バイト先の居酒屋で、一人のおじさんに話しかけられました。
僕は出張で初めてこの辺りに来たんだけどいい街だね、お姉さんは学生？などと軽い調子で話してきます。
若い女の子と喋りたいのかな、と思った私は、割と愛想良く返事をしていました。すると気に入られたのか、おじさんが帰り際に「お姉さん、優しいからこれあげるよ」となにかを渡してきました。
受け取って気づきましたが、それは数珠でした。
えっ？と、私は固まりましたが、おじさんは笑顔で「良いから良いから、気にしないで」と押し付け、そのまますぐ帰ってしまいました。
気味が悪いけど捨てるのも怖くて、私はそのまま持って帰ってしまいました。

その夜、私はふと目が覚め、トイレに行きました。用を足して立ち上がろうとしたとき、突然、部屋から何か人の声がするのです。

びっくりして飛び出すと、真っ暗な部屋の中で、何故かテレビがついています。
なんで？？？と頭の上にハテナが飛びまくりました。

また別の日には、部屋に私しかいないのに急にトイレの水が流れたり、シャワーを浴びていると、部屋からドスン！！というまるで本棚が倒れたかのような大きな音が聞こえてきて、慌てて見にいくが何も無かったりと、おかしなことが続きました。

あの数珠を貰ってからだ…と思った私は、ネットで調べて、不要な数珠を郵送で受け入れてくれる業者に送ることにしました。
そして郵送した夜のことです。寝ようと思って電気を消した瞬間、壁際に置いてある鏡に、一瞬男の人が映ったような気がしました。慌てて電気をつけましたが、なにもありません。でも確かに、俯いたおじさんが私の背後にいたように見えたのです。
その日は電気をつけたまま夜を明かしました。

それ以来、おかしなことは起きていません。
あのおじさんと数珠は、何だったのでしょうか。