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ヒトコワ

峰さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

お線香の部屋を覗いていたら……
短編 2021/10/20 22:22 504view
友人Aが小学生の頃、クラスメイトの家でお泊まり会が開かれた。

ゲームし放題、お菓子食べ放題と言われて、何人かの友人が集まったそうだ。

家に行くと優しそうなお母さんが出てきて、たくさんお菓子やジュースを出してくれる。

クラスメイトも自分のゲームや漫画を惜しみなく貸してくれて、天国のような時間だったそうだ。

やがて夜になり、美味しい夕飯とお風呂を頂くと、そろそろ寝ようかと布団が敷かれた。

みんな遊び疲れたからか、雑魚寝であっという間に寝入ったそうだ。

深夜、友人Aはトイレに目を覚ました。そっと部屋を出てトイレを探す。

確かこっちだったよなー、と廊下を歩いていると、不意に突き当たりの部屋からお線香の匂いが漂ってきたそうだ。

しかも、それはただの匂いではなく、線香の束を纏めて燃やしたのかというほど強烈な匂いだった。

友人は不思議に思い、なんとはなしにその突き当たりの部屋の前まで行った。

子どもだったからか、特に悪気もなく部屋の中を覗こうとドアノブに手をかけた。

しかしその瞬間、何か悪寒のようなものがゾゾゾっと背中を駆け上がり、友人は「中を見ちゃいけない」と直感した。

そこで、友人はそーっと廊下を引き返し、何事もなかったかのように部屋に戻ると、そのまま布団に潜って寝てしまった。

そして一晩眠ると能天気な友人は夜中の出来事もほぼ忘れて、何も気にせずに起床した。

翌日も変わりなく楽しく遊び、さあ解散しようかという時。

突然肩を叩かれて、友人が振り返ると、その家のお母さんが優しい笑みを浮かべてこう言ったそうだ。

「昨日の夜さー、部屋の中見ればよかったのにー。」

口調は優しかったが、言い知れない何かを感じて、友人はモゴモゴと誤魔化して逃げ帰ってきた。

クラスメイトの家ではそれ以降もお泊まり会が開かれたが、友人が行くことはなかったという。

あの晩、お母さんはどこから友人を見ていたのか。

お線香の部屋を覗いていたら、何が起きていたのだろうか。
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コメント(1)
  • こういうの大好き

    2021/10/25/01:43

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