合わせ鏡

いつもなら向かい合った同士

延々と鏡のループを繰り返しているのだが

その時の置き鏡にはちょうど自分の後頭部が映っており

鏡の表面は自分の髪で黒一色に染まっていた

。。なんとなく、私はそこから自分の後頭部を退けた

本当になんとなくだった

自分でも何故あの時に限ってそんなことをしたのか分からない

姿見に向かい合って映る置き鏡の中

そこに女がいた

青かった

「青白い肌」とかではない

まるで青色の光に照らされたように顔中真っ青な女が

鏡越しにこちらを見ていた

目が合った瞬間、私は叫ぶことも逃げることもできずに急いで机に向き直った

（やばい）

（初めて幽霊見た）

もうパニックだった

頭が真っ白になってしばらくそこから動けなかった

再び鏡を見ることはできなかった

見間違いかどうかを確認する勇気すら持てなかったのだ

数十秒固まった後、私はそっと自分の部屋から逃げ出した

青い女の後ろには部屋の外にある真っ暗な階段が映っていたのが見えたので