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kanaさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

【short_63】『サン』というおまじない
短編 2024/02/25 21:37 717view
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先日、散歩中に「石敢當(いしがんどう)」の石碑を埋め込んだ家を見つけて、沖縄の石敢當の風習について書かせていただきましたが、沖縄には他にも『サン』というおまじないがあるのを思い出したので、書き連ねていこうと思います。

『サン』とは、細いススキの葉などを輪結びにしたもので、
魔よけとして食べ物の上に置いたりする沖縄に伝わる『おまじない』の一種です。

沖縄には、魔物(マジムン)が食べ物に触れるとあっという間に腐ってしまうという言い伝えがあり、隣近所に食べ物をおすそ分けするような、ほんの数メートル、外に食べ物を持ち出すようなときでも、このサンを食べ物の上に置く風習が残っています。

その魔物(マジムン)の原典となった話というのが、御茶多理真五郎(ウチャタイマグラー)という人物のお話。相撲が沖縄一強く、しかも歌や三線(サンシン)も得意な文武両道の人だったが、そんな彼も病気には勝てず、亡くなると御茶多理墓に葬られました。

しかし彼は成仏せず、夜な夜な亡霊となって現れ、相撲をしているような騒ぎ声や三線の音を鳴らしたと言います。その後、祭祀の供物が腐敗するようになり、人々は真五郎の霊が盗み食いしたものと考えました。

沖縄では健康長寿の祈願として12月8日に餅(ムーチー)を食べる風習がありますが、御茶多理あたりの人々は8日に餅を作るとマグラーが腐らせてしまうため、前日の7日に作るという習わしもあります。魔物(マジムン)が食べ物に触れると腐ると言うのはここから来ているようで、そのため食べ物には魔よけの『サン』が必要になるということらしいです。

気候の暑い土地柄でもあり、こうした風習は食べ物が腐りやすいのを防ぐための人々の知恵だったのかもしれないですね。

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