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呪い・祟り

kanaさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

【short_33】恐怖! 地獄極楽夜行バス
短編 2024/01/26 21:08 1,051view
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彼女と地方にあるテーマパークへ遊びに行くため、ボクらは夜行バスに乗った。
「お隣失礼しますね」そう言って通路を挟んだ並びの席に女の子が座った。
一瞬ドキっとするほどかわいい子だったが、連れの男がいる。・・・が、この男、黒ずくめのシワクチャの顔のキモイ中年で、明らかに女の子と釣り合わない。

ボクらを乗せて出発したバスは、深夜1時ごろに中間地点のSAで一旦休憩となった。
ボクもバスを降りたのだが、そこで大きな蜘蛛を見てしまった。トイレの横に巣を張っている。・・・キモイ・・・蜘蛛は大嫌いである。子供のころのトラウマだ。

思い出す。小学校のグラウンドで見つけた蜘蛛の巣。そこには綺麗なアゲハが掴まっており、今まさに大きな蜘蛛が襲い掛かろうとしていた。ボクはその恐怖に耐えられず、蜘蛛の巣に石を投げた。蜘蛛もアゲハも無残な姿になった。
・・・結局自分はどちらも殺したのだ。

今思い出しても吐き気がする。ボクは早々にバスへ引き返した。まだ他の乗客たちは戻ってこない。すると通路側のカーテンを開けて、あの不気味な黒ずくめの男が話しかけてきた。

「お兄さん、ワタシらどこかで会ったことありませんか?」
「い・・・いいえ会ったことは無いと思いますよ」
「そうですか。ワタシ手品をやるんですよ。ちょっとご覧に入れましょう」
このおっさん、手品師だったのか。どうりで怪しい雰囲気のはずだ。

男は、隣で寝ている女の子を前にかがませるとジョキジョキと服の背中側からハサミを入れた。女の子の白い背中が現れる。かと思うと、今度は手術用のメスを取り出し彼女の身体にスーッと線を入れていく。女の子の身体が血の一滴も出さずに切られていく。

皮膚をはがし、筋膜をはがし、筋肉をはがす。ボクはまるで金縛りにでもあったかのようにその様子から目を離すことができない。
ボキボキと音を立てて肋骨を外した後、男は女の子の身体に手を突っ込んで何かピンク色の袋状のものを掴んで天高く引っ張り出した。それは女の子の『肺』であった。

「ほ~ら、まるで蝶々の羽のようでしょう?アハハハハハ」男はゲラゲラ笑いだした。

そこでボクの吐き気は頂点に達した。
体の自由が利くことが判り、ボクは思わず席を立ってSAのトイレへ駆け込んだ。
・・・ボクの意識はそこで途切れた。

気が付くとボクは救急車で病院に運ばれていた。傍でボクの彼女が泣いている。
さんざんなデートになったことをボクは彼女に謝罪した。
でも、なんでこんなことになったのか、彼女にうまく説明できそうもない。

翌朝、退院して帰ろうとした時、なにげなく見たテレビのニュースに愕然とした。
ボクらの乗っていたバスが事故で横転、炎上。乗客乗員全員絶望とのことだった。
・・・果たしてボクらは、生かされたのだろうか・・・。ボクは身震いした。

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コメント(2)
  • kanaです。こちら、過去作品で6ページ物の「恐怖! 地獄極楽夜行バス」を1ページに短縮したお話となります。おもしろかったらぜひ6ページ物の方もお読みください。もっとエグイです。

    2月に入ったらまた新作もアップしていきますのでよろしく~。

    2024/01/26/21:21
  • 新作楽しみにしています。

    2024/01/26/23:03

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