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心霊

バクシマさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

寄稿文
長編 2023/05/23 16:11 8,890view
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・・・さて、彼の美しい後ろ回り受け身から遡ること2週間前・・・

『・・・しかしながら、私から現役の皆さんに要望したいことがあります。
みなさん、師範の道場に通う回数が少ないのではないですか?
私の頃と比べて今の学生達は大変忙しいことかと思いますが、積極的に道場に通うようにしましょう。
私達の時代では毎日のように稽古をしたものです。
このままでは伝統ある京和大学合気道部の・・・』
寄稿文をここまで書いて、俺はいったんパソコンのキーボードを打つ手を止めた。

俺には趣味がある
それは・・・
「無縁な大学の合気道部に、OBと偽り総会等の寄稿文を送りつける」
というものだ。
なぜ合気道部か?真面目そうだからだ。
架空のOBからの手紙に真剣に悩んでくれそうじゃないか。
それに数ある武道・格闘技のなかから合気道をチョイスするのは、そこそこ変わった奴に違いないのだ。
真面目な変人を振り回すのは実に愉快である。
しょせん俺は、ボロいアパートと、陰険な連中がはびこる職場を車で往復するだけの人生だ。

ど田舎だから夜に遊びに行くところもない。
これくらいの悪戯をしても神様は許してくれるさ。
ちなみに名前は本名の「宮地」を使うのが俺のこだわりだ。
スリルがあって良い。

・・・そんなある日のこと
オカルト好きで名の知れた同僚が、聞いてもいないのに近傍の心霊スポットの情報提供をしてきた。
なんでも俺の家からそう遠くない距離に、恐ろしい老人の幽霊がでる廃墟ホテルがあるのだそうな。
場所を聞いたら人の住んでいると思えない峠道の脇あるのだという。
ご丁寧に正確な住所まで教えてくれた。
・・・くだらないなぁ。
俺には廃墟巡りより崇高な趣味があるのだ。
その日の仕事からの帰り道、車中で趣味のことをあれやこれやと考える。
さて、京和大学宛の手紙は昨日投函したし、
次はどこの大学合気道部に手紙を書こうか。
帝昭大学あたりがいいなぁ。
歴史ある大学だからOBの数も多いだろう。OBのひとりとして紛れるには丁度いい。

最近は調子が良いから今週中にも投函できそうだな。
しかし、送り主の住所はどうしたものか。
もちろん本当の住所は書けない。
・・・そうだ、さっき教えてもらった廃墟ホテルにしよう。
家から近いことには抵抗感あるが、別に俺の住所がそこからバレるわけじゃない。
そんなことを考えているうちに、車は峠道にさしかかった。
そういえば、例の廃墟ホテルはこのあたりにあるはずだな・・・
ふと、妙なものが道路に落ちているのに気づいた。
俺は思わず車を停めて下車し、落ちている物体に歩を進める。
靴が一足・・・
別に、道路で靴が落ちていること自体は、そう珍しいことではない。
だが、その靴はどうみても新品なのだ。
どこのおっちょこちょいが落としたのだろう。
不思議なこともあるものだ。
単なる好奇心で靴で近づいたが、別にこの靴を持って帰る趣味はない。
俺は車に戻り、再び帰路に着いたのだった。

2/8
コメント(1)
  • 何だか最後までわからない話ですね。

    2023/05/23/21:27

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