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ヒトコワ

黄な子さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ペットに餌をあげないでください
短編 2021/01/07 23:44 6,863view
俺が小学校低学年の時、放課後の遊び場は専ら小学校の校庭だった。
授業が終わると、そのまま校庭でサッカーやドッジボール、ケイドロやキックベースに興じていた。遊ぶメンバーは日によって変わり、中学年や友人の弟など、遊んでいる相手が誰だか知らないこともしばしばだった。

その中でも、いつも参加する常連はいた。そいつもその一人だった。
家が学校の近くらしく、学校が終わっても帰らずに校庭のブランコに乗って俺たちを見ていた。
線が細く、手足が節ばっている、陰気そうなやつだったが、当時の俺たちは遊べるならだれでもよかったのか、そいつに声をかけるのが常だった。遊びに誘うと、空咳をするように笑う様子が印象的だった。

放課後の校庭で、途中で帰らずに最後まで遊ぶそいつは、毎日母親の迎えを待っていた。パート終わりなのか、なにかの制服で迎えに来るそいつの母親は俺たちに、一人一人に名前を聞きながら感謝の意を示すとともに、時折妙なことを言うときがあった。

「エサはあげないでね。」

なんでもそいつが言うには、そいつの家で飼っているペットを親が厳しく躾けているようだった。食事の管理など、それはもうご執心らしい。
ペットと聞いて興味が沸いた俺たちが見に行っていいかと聞いても、そいつは黙って首を振るだけだった。何度言っても断られた俺たちは次第にペットに対する興味を無くし、そのうちだれも話題に出すことはなくなった。

ある日、遊び仲間の一人が大量の駄菓子を持ってきた。めったにない差し入れの存在に歓喜した俺たちは、気前のいい友人の存在に感謝するとともに、その場でいる全員で駄菓子を分け合った。先のそいつもその場にいて、駄菓子の味にひどく感動している様子だった。
駄菓子も食べたことないのかよとみんなで笑いものにしたが、それでもなお幸せそうなそいつを見て、みんなで分けてよかったなと思った。食べ終わった後、その日は流れで解散となった。

その日の夜、そいつの母親が家に来た。ひどく怒った様子だった。玄関で俺の両親が取り合ったが、どうも話の要領を得ないようで、言い争う声がリビングにいる俺にも聞こえてきた。両親は俺を引き合わすことを躊躇っていたが、俺も何かあったのかと気になって玄関に向かった。
そいつの母親は、俺を見た途端、眉間の筋をさらに深く刻ませて俺に何かを突き付けた。

昼間の駄菓子の包装紙だった。

それを俺に突き付けて、怒気を孕んだヒステリックな声を発する。鳴き声のようでもあった。

「エサをあげるなといったのに」

その日からそいつを放課後の校庭で見ることはなくなった。学年もクラスも違ったから、学校に来ているのかどうかも分からない。
あの日の夜、友人たちの家にも来たらしい。終始ヒステリー状態だったようで、中には事情が分からず警察を呼んだ親もいたそうだ。
そしてあの日以来、放課後に菓子を持ってくる奴もいなくなった。
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関連タグ: #事故物件#声#学校
コメント(9)
  • 本当にこういう毒親居るから困る

    2021/01/08/00:44
  • 毒親とかww
    その子 もしかしてアレルギー持ちで御菓子が原因で今ごろ ギャー
    くらい想像できんかww

    2021/01/08/00:55
  • アレルギー云々ならともかくペット呼ばわりがおかしいやろ
    子どもの事ペットとか言うの毒親でしかないやないか

    2021/01/08/10:27
  • アレルギーならエサなんて言い方しない
    嫌なリアルさがある話だ

    2021/01/08/20:43
  • 小学生の頃の友達の母親が凄い潔癖症で、友達が外で遊んでて服とか汚れることに凄いビクビクしてたの思い出したなー

    2021/01/09/17:36
  • 強いリアリティを感じます

    2021/03/28/06:26
  • 胸糞だな

    2021/04/07/00:01
  • とりあえず児童相談所に連絡やな
    役に立たなくても連絡したという事実が大事だ

    2021/05/03/15:34
  • ガキ共が好んで食うもんなんて、汚らわしい。家畜の餌と同じ。うちの大切な大切な息子には絶対食べさせられない!

    2021/05/29/07:29

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