初めてはっきり見た

お祓い中、私自身は何事も無かったのだが4人のうち、最初に獣道に入った2人が男声女声混ざった声で叫びだし、続いて残りの2人も嘔吐するという地獄みたいな状態になった。

そのまま1時間程が経つと4人とも収まり、吐瀉物の処理が 始まった。

神主達曰く、「4人が連れてきたものは悪霊のような悪い念の塊。幾つも顔などがあるように見えるが、あれは人の顔や身体が寄り集まってひとつの獣のようにまとまったもの。狙った人をしつこく狙うタチの悪いやつ。」という感じで説明していた。(私ももれなくお祓いされていた。)

4人の帰りは神主さんの運転で4人+神社関係者2人の乗った私の車で4人をおけり届けたらしい。(神主さん何気にゴールド免許持ちで燃料代ももってくれた)

戻ってきた車の中に散らばっていた数珠を拾い、それらは神主さんに処分してもらった。店長は後々知り合いに数珠を新しく作ってもらったらしい。

さて、その「悪いもの」なのだが、昔からこの地域にいるわけではなく、むしろ4人が連れてきたものらしい。前々から色んな心霊スポットに出向いていた4人は(かく言う私もそこそこ出向いていたが)、行く先々で色々なものを持って憑けて帰っていた。
当然、類は友を呼ぶと言わんばかり悪いものがどんどん集まってくる。

そうして集まった状態の悪いもの達は次第に力を増して、さらに強い悪いものを引き寄せる。その繰り返し。

強くなった力は霊感のない人達にもそういったものを見せる程になると、やがて「心霊写真」や「心霊動画」として霊的のない人にも見える形で映り込むのだとか。
故に心霊写真に映り込む「顔」は実は「複数の人間などの顔が集まってひとつの顔に見える」ものらしい。

私が店で見たのは正しくそういうものだったのだ。

そこまで行くと成仏とかそういう所まで持っていくのは難しい。引き剥がすのが限度なんだとか。

「さて、Oくん。車を借りて済まないね。君も店長さんも送っていくよ。」
神主さんの運転で先に店長を、そして私を車で送ってくれた神主さんは去り際にこんなことを教えてくれた。

「Oくんのお家に住んでいるタイプは家主のことを気にかけてくれるタイプだから邪険にしたり怖がったりしちゃあダメだよ。数珠が弾けたのも、「危ないから行かないで」と数珠を掴んで引き止めてくれたからなんだよ。ホント、いい家に住んでるねOくんは。」

との事。
居住人数も教えて貰い、内訳は私、10歳程の女の子、40代程の男性と女性(夫婦とかでは無い)、おばあちゃん、犬(柴犬？)、そして元々今の家が建つ前にこの土地を持っていた村人(地主ってほどではないけどそれなりに裕福な人)の7人(実質6人と1匹？)らしい。

なんともありがたい限り。前々から何人かいるとは思っていたがそんなにいるとは思わなかった。特に犬。
その日以降、お供え物をちょっと増やしてドッグフードも足しておくようにした。

最後に、除霊された「アイツ」だが、この町の地形や立地の都合上、まだ付近を徘徊している。
付近とは言っても私の学校のある街や私の町の隣の村などかなり広く、正しく「この辺り一帯」と言うにふさわしい行動範囲があるらしい。
こいつに関してはもう、時間が経って弱くなるのを待つしかないとか。

迷惑なことに、あの4人が戻ってくるのをずっと待っているのだろう。