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ヒトコワ

キミ・ナンヤネンさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ゴミを捨てた時の話
短編 2023/02/22 00:45 6,460view
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「は、はい…。気を付けます…。」

私はそう答えるしかなかった。

「本当に気を付けてくださいね。」

そう言う管理人の横を通り過ぎ、私はマンションへと帰った。

そんなやり取りも忘れた頃だった。

その日はゴミ収集の日だったが、ゴミが少なかったので、この日はゴミを出すのをやめた。

ふと時計を見ると10時をわずかに過ぎていた。

「10時過ぎてるのか…。」

と思った瞬間、あの日の事を思い出した。

「10時過ぎたらゴミ収集はどうなるんだ?」

そんな疑問を持ってしまうと、居ても経ってもいられなかった。

ベランダへ出ると、ゴミ収集場を見下ろす事ができた。

このマンションは作りが良くて、窓の遮音性も高い。

春先とはいえ夜は寒いから、いつもは窓を閉めていてゴミ収集の音が聞こえなかった。

「ゴミ収集車が何時に来るのか見てみよう」

ビール片手にしばらく見張っていた。

管理人の注意が効いているのか、この時間にゴミを出す人は誰もいなかった。

野良猫が多いという話の割には、この時間のせいかその鳴き声などは一切聞こえない。

私は、誰が何時にゴミを出すのかとか、10時過ぎに何人がゴミを出すのかではなく、収集する時間をただ知りたいだけなのだ。

そんな事を考えていると、一人の男性がゴミを出しに来た。

「あれ?あの人って…」

それは管理人の姿だった。

管理人は誰かに見られないようにするためか、周りをキョロキョロと見渡していた。

私はとっさにベランダの壁で身を隠すようにしゃがみ、隙間から管理人の様子を見る事にした。

「10時過ぎてゴミを出したらいけないって自分で言ってたのに…」

そう思いながら、管理人が管理人室へと戻るまで見届けるしかなかった。

ところが、さっきまで聞こえなかったはずの、猫の鳴き声が聞こえてきた。

それはかなりか細い声だったが、確実に近くにいる事はわかった。

聞き耳を立ててその場所を探し出すと、それはゴミ収集所から発せられていた。

ゴミ収集所に猫がいる。

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関連タグ: #カラス#声#猫#酒
コメント(2)
  • その管理人はその後どうなちゃったかね?

    2023/02/22/09:17
  • 管理人に化けてでるぞ!

    2023/04/27/16:15

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