訪問営業

そう応対を終え今度こそは寝ようと寝室に戻ろうとした。
彼も彼なりに仕事を頑張っているのだろうし最初から頭ごなしに言いすぎたな
そう反省しながら寝室へ向かおうとすると

ピンポーン

今度ばかりは完全に頭にきた。
こいつは常識外れにも程がある！
いくらなんでもこれだけ丁重にお断りしてまたインターホンを押すなんてあり得ない！

怒りが沸点に達した俺はまた受話ボタンを押した。

お客様。お話は最後まで聞いていただけませんでしょうか？わたくしは決して悪徳業者などではなく〜…

お前マジでいい加減にしろよ！会社にクレーム入れてやるからな！
株式会社〇〇の坂田だな！覚えたからな！
いい加減他所行きやがれ！
今度鳴らしやがったら…

おい待てよ。

俺が怒鳴っているのを遮る様にそいつがそう言った。

は？何だって？

そう聞き返した。
モニターには先程と打って変わって怒るでもなく笑うでもなく
完全な無表情の男が写し出されていた。

いやいや、お前さっきから偉そうに言い過ぎじゃない？
俺だって仕事で声かけてんだよ。そんなことも分かんねえのか？
そりゃそうかこんなタイミングで熱出してるってことは馬鹿みたいに出歩きまくってたってことだもんなー？
そんな知恵遅れのお客様にはこっちにも考えがありまーす。
後悔すんなよ。