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心霊

YoyoYoyoYさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

高野山の宿坊
長編 2022/12/31 10:09 5,421view
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「キャアアアアそんなわけないでしょう~怖いから止めてよ~お坊さんが何かやってんのよ!」
「だっておかしいじゃない!普通じゃないよ!」
「もう、みんな止めようよ!」
全員がパニックを起こし大騒ぎです。
すると、廊下の方からバタバタと足音が聞こえて来ました。
「ヤバいよ!落ち武者が来るよ~殺されるって!日本刀持ってんのよ!」
バーンと扉が開かれると、担任の先生が鬼の形相で立っていました。

「おまえらー何時だと思ってるんだ!男子はもう寝たぞ!
大騒ぎして何考えてるんだ!みんなこっちへ来い!」
全員、廊下にほうりだされ正座1時間のバツを食らいました。

そんな騒ぎの中で、合戦の音はすっかり静かになっていました。
「何だったのよあれ、おかげで正座させられるしさあ。」
本当に、霊感のある子だけでなく、普段は何も感じない子もみんな聞いていました。

私も珍しい現象だと思いました。

後で調べてみると、高野山は戦国武将を弔うお墓が多数存在するようです。
織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信など、名高い武将がこの地で眠っています。
彼らを敬い、命を懸けて戦った戦国の兵達が、今なおこの地で戦に立ち向かっているのでしょうか。

帰宅後、林間合宿での体験をいの一番に祖母に話しました。
「なるほどねえ、すごい体験をしたものねえ」
祖母はうんうんと頷いて聞いています。
「でもさ、初日だけであとの2日間は静かだったんだよ」
それも不思議でした。
「宿坊のお坊さんが、供養でもしたんじゃないの?」
なるほど、そうかもしれない。
「ところでね、帰って来たら話そうと思ってたんだけどね、あんたが泊ったお寺にはね」
「お寺には?」

祖母はクスクス笑うと仏壇の中から1枚の写真を取り出しました。
「ほら、この人は私のお父さん。あんたの曾おじいちゃんに
あたる人なんだけど」
写真の中の男性は、品の良いスーツを着て椅子に座っています。
和歌山県の写真館で撮られたものでした。
どことなく目鼻立ちが祖母に似ています。
私は食い入るように見つめました。
「曾おじいちゃんのお墓がね、あんたの泊ったお寺にあるんだよ」
「ほんとに?」
偶然、私が泊った宿坊には確かにお墓がありました。
その中の一基が、曽祖父のものだったようです。
「そんなことってあるんだね」
祖母は写真を仏壇に戻すとみかんを差し出しました。
「和歌山県はみかんの産地だから、曾おじいちゃんもみかんが好きでね、これをお供えしてあげなさいな」
私はみかんを受け取ると、曽祖父の仏壇に手を合わせました。

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コメント(3)
  • あれ?
    長編扱いになってますが、実質2ページしかないですよね?
    編集されました?

    2023/01/01/03:53
  • このサイトを見ている限り短編長編は文字数で判別されてると思うのですが…
    ページ数もおそらく改行の数で自動で分割されてるのだと思います

    2023/01/01/11:47
  • へーなるほど。勉強になりました。自分は5ページ過ぎたあたりで長編・短編に区切られるのかな?と思ってました。文字数・改行数ですね。

    2023/01/01/13:05

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